民団新聞 MINDAN
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同胞高齢者に故郷の味を

民団大阪福島支部
公民館借り、デイサービス開始



韓国風のりまきをはじめとする
心尽くしの料理に心なごむひととき

 【大阪】民団大阪・福島支部(金明石支団長)が、今月から福島区在宅サービスセンター「あいあいセンター」で在日同胞高齢者のためのデイサービスを始めた。民団が独自にこうしたデイサービスに乗り出すのは、同じ民団大阪府本部管内の泉北支部に続いて二番目。地元福島区役所健康福祉サービス課では、自治体としてなんらかの助成ができないかと検討している。

 「いらっしゃい。ようこそ」―。十四日のオープン初日、「あいあいセンター」では金支団長ら民団支部役員とボランティアのスタッフら総勢三十人が同胞お年寄りを迎えた。足の不自由なお年寄りは有志が自発的に送迎サービスを買ってでた。参加したお年寄りは七十歳以上二十九人。同支部ではせいぜい十五人ほどと予想していただけに反響にびっくり。

 一歩中に入ると、テレビから懐しい韓国の民謡が聞こえてきた。「あいあいセンター」を憩いの場にしてもらおうと、同支部が韓国もののビデオをたくさん用意しておいたのだ。参加者の年齢は李占順ハルモニの九十一歳が最高。「(いまでも)あっちこっちぶらぶらして散歩している」と元気はつらつ。

 なごやかな歓談のひとときが一段落したころ、手作りの韓国料理がおぜんを彩った。

 献立は韓国風のりまきにチャプチェ、明太とズッキーニのジョン。スープは三色チュモニ(肉団子を袋に包み込んだもの)で、デザートはしそゼリー。同支部の料理研究家、李映林さん(57)がカロリーに配慮して用意、お年寄りを感激させていた。

 食後は楽しい歌や踊りでひとときを過ごした。場を盛り上げたのは、ボランティアで参加した郭政義さんと郭公子さんのチャンゴ演奏。お年寄りたちの間からは「アイゴ、チャランダ」の声が飛び交った。

 今回のデイサービスを企画した金支団長は「泉北支部の街角デイハウスを見て、こういうかたちでできたらなと思った。ただ、大阪市には街角デイハウスのような助成制度はないので、施設だけ提供してもらうにとどまっている。本当はこいうことは、行政が主体となってやっていかなければならないことだと思います」と話している。

 この日、同席していた福島区役所健康福祉ービス課の杉本正樹課長は「なんでもいいですから私を訪ねてきてください。お話を聞いて一つひとつ解決していきたい」と述べた。これに対して、金支団長は「送迎用の車を借りたり、入浴サービスを受けられるようにできたら」という。

 民団大阪府本部の鄭貴煥国際副部長は、「大阪府と大阪市、堺市の福祉助成金制度が違うことから、街角デイハウスの活動にはクリアしなければならない問題が多い。在日同胞の課題として、行政との話し合いを積み重ねていきたい」と話している。次回のデイサービスは来年三月の予定。

(1998.11.18 民団新聞)



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