民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
永住外国人の地方参政権
日本各界に聞く<10>

衆議院議員・八代英太さん(自民)



「認めるべき」が潮流に
求めるヒトに与える段階設定も

 自民党の八代英太議員は党の外交部長として、金大中大統領訪日の事前準備に奔走した。八代議員は芸能活動中の不慮の事故により、車イスの生活を二十五年間送る中で、弱者への差別・偏見を肌で感じ、九六年にあらゆる差別を改善する人権擁護推進法を成立させた。また、外国人登録法の指紋押捺制度全廃にも取り組み、永住者以外の外国人にも指紋を撤廃するよう尽くした。地方参政権付与は時間の問題と受けとめている。


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■金大統領の訪日では尽力されたそうですね。

 韓国に新しい大統領が誕生したので早速訪韓し、金潤煥議員らと懸案となっていた漁業問題を含め親しく話し合った。両国は一番近い国であるし、歴史的にも長く深くつきあってきているのだから、もやもやした関係があるとすれば、お互いに清算し合う思いにたって二十一世紀を切り拓いていくことが大切だ。もっと民間交流、青少年交流をしていこうと話し合った。

 大統領の訪日は党をあげて歓迎したし、国会演説では新たな韓日関係の始まりを感じた。これまでは韓日の不幸な歴史を談話で済ませたきたが、今回は文書できちんと示した。これからは前を向くしかない。


■二〇〇二年のサッカーW杯をどう進めますか。

 二つの国が初めて共催する大会をフランス大会を上回る成功に導くために、両国が一つの国という思いで互いに努力しなければならない。文化、歴史を共有する日韓だから、政治家サポーターとして努力したい。

 韓国経済は正直言って今は厳しい。韓国の経済効果を考えるならば、五分五分ではなくて全体の六割のゲームを韓国で行ってもいいと思う。韓国経済が強くならなければ、日本も強くなれないのだから。


■指紋押捺制度撤廃への思いは。

 私の選挙区の東京北区の北本区長は、全国の外国人登録の窓口の代表で、行革の時代にあって登録事務の煩雑さをずっと訴え続けて来られた。私もグローバル化した時代に指紋制度は必要ないという考えだ。

 特に、日本と韓国の歴史や何十万人もの在日韓国人が日本社会で納税者として地域に暮らし、いわば日本の経済を支えてこられたのに指紋強制とは失礼な話だ。八月三十一日に法務大臣に会い、大統領も来られるし、新しい日韓関係を築くというのに、いつまでも指紋制度を残すのはよくないと強力にアピールした。

 日本から韓国に行く場合にはビザがいらないのに、韓国から来る人にはビザがいる。それもおかしいが、第一段階として指紋制度をなくすことだと言ったことが、翌日の新聞に大きく報道された。登録法違反の罰則に問題があるとしたら、即刻問題提起をしたい。


■地方参政権問題の基本的な考えは。

 確かに自民党内にはいろんな意見があるし、朝鮮総連も反対している。しかし、今の政治状況ではほかの政党の「認めるべき」という意見が流れになっているし、遅かれ早かれ認められるのではないか。

 朝鮮総連が「いや」だと言うなら、投票権を求めなければいい。「投票したい」という人が現実にいるわけだから、求める人に投票権を与えるよう段階的に試みることだ。全面的な参政権論議に入っていくのが常識論としては大切だが、党内にもいろんな考え方がある。しかし、流れはかなり付与に向けていい方向になっていると感じる。


■めざしている政治哲学とは。

 日本には障害者、外国人、女性、同和という四大差別がある。車イスに乗って社会を見てみると矛盾が多い。障害者に対する拒否感が差別を生む。差別はいけないとわかっていても、長い歴史がそれを放置してきた。それをなくすために政治家になった。

 「太陽は誰の上にも照らす」。富める人にも貧しい人にも、車イスの人にも歩ける人にも、病の人にも健康な人にもまんべんなく照らす。弱い人に目を向ける政治をめざしている。弱い人が「生きていてよかった」という社会は、健康な人にもいい社会だ。

 七九年に国会で宣言したノーマライゼイションという考え方が実現できてこそ、文化国家だ。福祉外交がライフワークで、アジアの障害者の組織を創った。手話は日韓で同じ。互いに良いところは取り入れないと。

(1998.11.18 民団新聞)



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