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参政権実現へ今こそ努力を



 「この間の本団の地道な運動がようやく国会での審議にまで導いた。今こそ我々の努力が必要だ」。

 先般開催された全国地方団長・中央傘下団体長会議において、辛容祥団長はこのように強調し、地方参政権の法制化に向けて陳情活動を強化することを確認した。


法制化へ新たな動き

 本団の地方参政権獲得運動は、去る九月以来、「法制化」に向けて新たな動きを見せている。一つ目は、九月五日、韓日・日韓議連合同総会の共同声明で、日本側が「法制化に向けて鋭意努力する」ことが決議された。紆余曲折の中で、はじめて「法制化」という文言が具体的に入ったことの意義は大きい。

 二つ目は、十月六日、新党平和・改革(現公明党)と民主党が国会に法律案を提出したことだ。九五年二月に「永住外国人等に対する地方選挙権の付与は憲法上禁止されているものではない。付与するかどうかは国の立法政策にかかわる事柄である」という最高裁判決が出て、すでに三年半以上が経過している。

 これまで本団は、半世紀以上にわたって定住している私たちに、住民として地方自治体に参与できる権利を付与するよう、政府及び各政党に繰り返し要望してきた。

 しかし、いつも「検討」という言葉で先送りされてきた。その意味でこのたびの法案提出は、国会での実質的審議への大きな契機となるものである。

 私たちが多く住んでいる全国都市部の七〇%以上の自治体が、すでに政府に対し抜本的な政策の見直しを要求する意見書を採択している。従って、永住外国人の地方参政権付与については、すでに司法と地方自治体のコンセンサスを得ているといえる。


韓日新時代確立に不可欠

 三つ目の大きな動きは、金大中大統領が訪日し、共同宣言、首脳会談、国会演説などで在日韓国人の地方参政権付与を繰り返し日本政府に要請したことだ。

 共同宣言では、在日韓国人が「韓日両国民の相互交流・相互理解のための架け橋としての役割を担い得るとの認識に立ち」、その地位の向上に努めることで意見の一致をみている。

 また日本の国会演説で大統領は、六十五万在日韓国人が、「日本社会により多く貢献できる立派な構成員となり得るよう、制度的条件と社会的雰囲気がさらに改善されること」を要望し、特に「地方参政権の獲得が早期に実現できれば、在日韓国人だけでなく、韓国国民も大いによろこび、世界も、日本の開かれた政策を積極的に歓迎してやまないだろう」と強調した。

 これらの一連の経過を踏まえ、西田司自治大臣も本団との懇談のなかで、地方参政権の早期法制化に向けて、「真剣に検討したい」と明言している。

 また、この地方参政権問題は、アジアのリーダー国として、外国籍住民といかに「共生」していくのか。これからの日本社会をどう運営していくのか。いわば二十一世紀における、世界の中の日本の方向性と政策が問われているとも言えよう。

 すでに北欧諸国に定住する日本人は、相互主義に関係なく、日本国籍を保持したまま地域住民として地方参政権を行使している。

 これら時代の要請でも地方参政権問題は日本の世論の理解ある風を期待したい。法制化に向け、「我々の努力」が必要なのは言うまでもないが、日本国民の信頼、共生へのムードを望みたい。

(1998.11.25 民団新聞)



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