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4軒に1軒が外国人の入居差別

埼玉の高校生が実態調査



韓国名で仲介業者70軒から聞き取り

 【埼玉】大宮市立大宮北高校(新井行雄校長)の生徒が、このほど地元周辺の七十軒の不動産店を対象に在日外国人に対する入居差別実態を調査した。結果は、実に四軒に一軒の不動産店が「不可」、ないしは拒否に近い回答を寄せていた。たとえ可能であっても、厳しい条件を課せられていることを身をもって知った生徒は、思いがけない結果にショックを隠しきれないでいる。

 今回の調査は同和教育の一環として、学校ぐるみで取り組んだ。各クラスから四人の代表が選ばれ、地元周辺と都内から無作為に選んだ七十軒の不動産店に電話をかけた。

 質問趣旨は「今回、学校にやってくる在日韓国人二世の朴保(パク・ポー)さんから部屋探しを頼まれている。外国籍でも借りられる物件はあるか」というものだった。問われれば、三十歳代の日本生まれで日本語を常用し、日本できちんと生計を立てていると答えることにしていた。

 七十軒の内訳は埼玉県内が六十軒、千葉県内一軒、都区内九軒。このうち、条令で国籍差別を禁止している都区内では、日本人の保証人という条件付きながら表向き「可能」だった。

 一方、埼玉県では実に十一軒が「不可能」の返答。「不明」のうち、生徒自身が「否定に近い」と判断した六軒も加えると調査件数七十軒中のうち、四軒中一軒が事実上、入居差別をしていた。保証人に日本人を立てるなどの条件を付けて「可能」としたのは、二十七軒にすぎなかった。

 調査にあたった生徒の一人は、「基本的には無理があたりまえ」との不動産店側の説明に「ショックでした」と驚きを隠せないでいる。また、ある生徒は、「可能である」という回答にほっとしたのもつかの間、「物件は限られる」と聞かされ「ちょっとおかしい」と首をひねった。なかには「外国人のつらさがよく分かった」と感想に書いた生徒もいた。

 同校では「部落」「障害者」「民族」とその年の「同和教育講演会」のテーマを設定している。生徒は在学中、順繰りに三つの課題を担う。今年は民族差別の年にあたっていた。二十日、同校講堂で全校生徒を前にして代表者二人が「居住権調査」の結果として発表した。

 今年、指導にあたった社会科の江藤善章教諭は「生徒たちに現実を知ってもらい、なにかしらを感じてもらえたら」と話す。

 なお、このあと、本当の朴保バンドによるコンサートも行われた。

(1998.11.25 民団新聞)



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