民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
韓国への旅で自己再発見
在日3世の生き様がドラマに

12月5日、TV大阪系で放映



ドキュメントドラマの主役をつとめるT・K・O
(右が木下隆行、左が木本武宏)

コントグループ「T・K・O」が主演

 在日同胞三世にとって国籍とは何か。日本人との友情、結婚とは何か。在日同胞の日常に起きる問題をドキュメンタリータッチのドラマに仕上げたのが、テレビ大阪制作の「マイ ソウル エクスプレス」。大阪から博多、釜山、ソウルに足を伸ばし、自分探しの旅をする青春群像を描く。主演は関西を中心に活躍する二人組の若手コントグループのT・K・O。背の高い方が木下隆行君(25)で、もう一人が木本武宏君(26)。二人とも大阪出身だ。

 T・K・Oの二人は中学二年の時に、大阪府大東市のローラースケート場で知り合った。もともと人を笑わせるのが好きだった木下君は、その頃から漫才コンビをつくり、仲間内でウケていたという。さすが大阪。

 学校は違っていたがすぐに仲良くなった二人は、木本君の高校卒業後、松竹芸能養成所の募集広告を見てオーディションを受けた。芸というものは準備していなかったので不安になったが、簡単なやりとりだけで合格。

 「何ちゅうところや」と首をひねりつつ、養成所入りした。

 九一年四月の初舞台。それまで芸名はなかったが、二人のイニシャルTKとテクニカルノックアウトをかけてT・K・Oが誕生した。関西テレビのお笑い番組「爆笑!BOOING」では五週連続勝ち抜き、第四代グランドチャンピオンに輝く。

 「遊びでやっていたことが、まさか仕事になるとは」と木下君。


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 ドラマは主人公が大阪に日本一の焼肉店を開店するために、友人と韓国に出かけるストーリー展開だ。「在日」の自分探しの旅のほか、グルメ、紀行の味付けがなされている。

 ドラマ出演も韓国行きも初めての二人。不安げな木下君に「無理に役作りをすることはない。自分の素直な気持ちをそのまま出せばいい」と監督は、アドバイスした。気が楽になった。

 番組のセールスポイントは、「初めて見る韓国」。売り出し中の女性コンビ、オセロが二人の友人役で登場する。これ以上は観てのお楽しみ。


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 二人にとって韓国の初印象は、「騒々しいなあ」。大阪に帰ってから日本が静かなことに気づかされたという。二十四時間オープンのデパートが密集している所に行ったせいか、「若い人が責任あるポジションでめっちゃ働いているのに驚いた」。

 それは木本君が小さかった頃の日本のイメージを思い出させるものだった。

 「韓国の元気に触れ、自分はなにボーッとしてきたんやろ」と思った。アジアに行くとそんな気持にさせられると聞いていたので、「これやな」と合点がいった。「ぼくの母のようなたくましい人がいっぱいいる」と木下君。「もう一回行きたい」と話す。

 母の木下貞子さんも息子のおかげで念願かなってエキストラで初めてドラマに出演している。


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 番組の放送は十二月五日(土)の午後四時から五時二十四分まで。テレビ大阪をキーステーションに、テレビ北海道、テレビ東京、テレビ愛知、テレビせとうち、TXN九州の六局をネットする。日本全国の約六六%の世帯が視聴可能だ。

 金大中大統領の日本訪問を大きな契機に、日本大衆文化の開放が進む韓国。日本でも韓国の文化が花開く日も近い。「近くて遠い」と言われた両国の関係が、文化を切り口に豊かになっていく。

 そして、二〇〇二年のサッカー共催よりもひと足先に大阪発のエクスプレスは友好・交流の道を走る。

(1998.12.02 民団新聞)



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