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韓日友好の石塔が序幕

韓国が鹿児島に寄贈



韓日友好のしるしとして韓国から贈られた石塔の除幕式

 【鹿児島】鹿児島市での日韓閣僚懇談会に出席した金鍾泌、小渕恵三両首相らは十一月二十九日、壬辰倭乱で連行された朝鮮人陶工が薩摩焼の窯を興した鹿児島県東市来町の美山を訪問、住民の歓迎を受けた。

 また連行された陶工たちの四百年にわたる霊を慰め、両国の友好親善を深めるために韓国から寄贈された高さ約五・八メートルの石塔の除幕式に参加した。式には民団を代表して辛容相団長らも参席した。金首相は「韓日の歴史が息づく鹿児島で、友好関係を深められたことを意義深く思う」と述べた。

 三層の石塔の碑文には、四百年前に朝鮮人陶工が異国の地に連れてこられたことを明記しながら「日本の陶芸を世界に輝かせた朝鮮人陶工の後裔とその一族の不屈の意志を称え、合わせて二十一世紀の新たな韓日関係を確固としたものにすることを望む」と刻まれている。

 韓国名誉総領事で薩摩焼窯元十四代の沈壽官さんは「父は韓国、四百年を育てた日本は母。父母の国が協力すればどんなに素晴らしいか。今、小さな韓日友好の橋ができた。この橋をみなさんで渡ってください」と感無量の表情で訴えた。

 石塔の除幕式に先立って両首相らは、連行された陶工たちのふるさと、韓国・南原市から船で運ばれた「日韓友好の炎」や、その炎で初火入れをした共同登り窯を視察、友好親善を願い、桜と松を植樹した。

 同町出身で朝鮮人陶工らの子孫だった東郷茂徳元外相の銅像を見学する途中、隣の広場で民団鹿児島県本部など南九州の団員らが薩摩焼四百年を祝賀するマダンを開催していることに気が付いた金総理は小渕首相を伴って会場に駆け寄り、同胞らをねぎらった。

 沈壽官さんの自宅でも懇談が行われると同時に、工房では高村正彦外相らがろくろ回しや絵付けに挑戦。両閣僚とも興味深げに見守った。

(1998.12.02 民団新聞)



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