民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
写真で見る98年重要ニュース(在日編)



■地方参政権で初の法案提出

衆議院議長を訪れ法制化を要望する辛容祥民団中央団長

 定住韓国人への地方参政権付与に対する、民団のねばり強い要望活動が日本の政界を動かし、日本衆議院の会派「平和・改革」(現公明党)と民主党は十月六日、「永住外国人に地方参政権を付与する法律案」を衆議院に共同提出した。

 法案は満二十歳以上で同一市内に三カ月以上居住する永住外国人が地方参政権の取得を希望する場合、市町村が作成する永住外国人の選挙人名簿への登録を申請して選挙権を得る申請方式をとった。初めての法案提出は、今後の運動に新たな転機を与えた。

 同法案は平和・改革の冬柴鐵三幹事長、民主党の中野寛成代表代行らが中心となってまとめたが、民団の地方参政権運動によって全国の千三百七十二議会で意見書が採択されてきたことが背景にある。一方、十二月には日本共産党が被選挙権を含めて法案を提出した。


■フランスW杯・韓日サポーターがひとつに

韓日のサポーターがひとつになって
両国を応援した「共同応援団」

 二〇〇二年ワールドカップ(W杯)共催の韓国と日本がそろってフランスW杯に出場。共催成功へ仲良く両国のサポーターで共同応援し、パートナーシップを深めよう―と、在日大韓体育会(金英宰会長)が企画した、在日同胞と日本人サポーターで構成する、「ふれあい共同応援団」百二十九人が六月二十四日にフランス入りした。二十五日の韓国対ベルギー、二十六日の日本対ジャマイカ戦で心をひとつにして声援を送った。在日韓国人と日本人による「共同応援団」は初めて。一行は試合観戦のほか、交流パーティなどを通じて二〇〇二年W杯に向けた新たな友情を深めた。

 「共同応援」は「二〇〇二年W杯共催成功のためには民間レベルでのパートナー意識の醸成が必要」と昨年末、金英宰会長が提起していた。

 今回のツアー参加者の多くがこの趣旨に賛同した人たちで、「いろいろなツアーがあったが、こういう共同応援は気持ちがいい。共催成功へのスタート台になるはず」と喜びよう。また、十一月には同ツアーに参加したサポーターを中心に二〇〇二年W杯へ向けて共同応援していく「KJクラブ」が発足した。


■韓信協・信組の再編・統合

会員信組の再編・統合を確認した韓信協の総会

 在日韓国人信用組合協会(李煕健会長)の第四十五回通常総会が七月二十四日、大阪市内のホテルで開かれ、「日本版ビッグバン」に伴う民族金融機関の生き残りをかけた全国会員信用組合の統合・再編を最重要課題と位置づけ、(1)ブロック別再編(2)合併事務、再編に関する事務上の情報提供(3)双方向情報システム構築(4)会員組合役員相互の交流(5)会員信組中核実務者の交流―などを展開していくことを決めた。

 李会長は「私たちの底力をもう一度見せ、サバイバルを勝ち抜き、われわれが築いてきた民族金融機関の灯を消さず、今こそ連帯を持って生き抜こう」と全国ブロック化再編を強く呼びかけた。

 民団中央本部の辛容祥団長も「経営破綻による一連の事業譲渡に陥った信組など、私たちの胸は悲痛の思いだ」と憂慮した。さらに辛団長は、過去わが国の祖先が国を失ったのは、私欲を捨てずに争ったからからだ。今こそ在日同胞という営業基盤を結集すべきだ」と、一日も早い再編(合併)を促した。


■民族大学が常設しコリアン・アカデミー

会員信組の再編・統合を確認した韓信協の総会

 韓国語や韓国の歴史・文化をはじめ、在日同胞の歴史と課題などを体系的に学ぶ、講座制「民族大学」の常設教室、「東京コリアンアカデミー」が六月六日、東京新宿の東京韓国学校に開講した。「韓国近代史」、「一般教養」、「韓国語」の三つのジャンルに首都圏の同胞や日本市民ら百五十人が受講した。

 七月二十五日に第一期が修了(韓国語は十月二十一日)し、十一月には第二期がスタートした。講師陣が日本社会で活躍している在日同胞学者、文化人、教授、ジャーナリスト、市民運動活動家によって構成されているのも特徴だ。


■次代に灯せ共生の火…薩摩焼400年祭

韓国から運ばれた窯の火を点火する
沈壽官氏(左)と全南・南原市長

 薩摩焼を興した韓国人陶工の渡来四百年を記念した「薩摩焼四百年祭」が十月二十二日から約一カ月間、薩摩焼の里鹿児島県東市来町美山(旧名苗代川)で行われた。

 記念式典は南原市から運ばれた「窯の火」の入場でオープニング。実行副委員長でもある十四代目沈壽官氏が「四百年前、わが祖先たちは土と釉薬だけを持って渡日した。今ようやく故国の火を灯すことができ感無量」とあいさつ。

 今回の火の搬送の背景には、四百年前の連行の際には、土と釉薬で作ったことから、「窯の火ばかりが日本のもの」という意味で命名された名品の茶わん「火ばかり」へのこだわりがある。第十四代宗家の沈壽官氏ら、窯元らが「故国の火で焼きたい」との願いを込めたものだ。

 式典で披露された窯の火は古代韓国の始祖、檀君を祭った玉山神社に奉納された後、まつりのハイライトでもある美山に新造された「共同登り窯」の初火入れに使われた。火は登り窯わきに設けられた「日韓友好の炎」と書かれた灯火台にも点火され、薩摩焼の里、美山を今後も照らし続ける。

 また、まつりのしめくくりとして十一月二十九日には、韓国から友好の意を示した石塔が贈られ、美山の地で除幕された。


■冬季長野五輪、同胞が熱い声援

韓国選手の入場行進

 第十八回冬季オリンピック長野大会が三月七日から十六日間、冬季五輪では最多の七十二カ国・地域から選手二千三百三十九人が参加して開かれた。韓国からは六十三人(役員二十五、選手三十八人)が参加、北韓からも十人が六年ぶりに参加した。

 スタンドには民団の拡大幹部会議のため前日から長野入りしていた全国役員と地元の同胞が参観し、韓国選手団と北韓選手団に熱い声援を送った。灰色のズボンに白の上着を着た韓国選手団は三十八番目に入場。在日三世の力士、巌雄の持つプラカードに続いて、旗手の許勝旭選手(スキーアルペン)を先頭に入場するや、スタンドの在日同胞が大小の太極旗を振って大きな声援を送った。また、五十番目に入場した北韓選手にも太極旗を振りながら歓迎した。

 韓国はお家芸ともいえるショートトラックで活躍。金三、銀一、銅二の計六個のメダルを獲得し総合九位の成績を収め、IMF寒波の韓国民らの心を熱くさせた。


■オモニの輪が半世紀迎える

50周年式典で合唱をする全国のオモニ代表

 在日韓国婦人会(金定子中央会長)が創立五十周年を迎え、記念大祭典が十月二十三日、東京国際フォーラムに全国の会員をはじめ、民団とその傘下団体、公館や韓日両国の議員ら多数が参加して開催された。半世紀の歴史をふりかえるとともに、五十周年を契機に二十一世紀に向け、「共生・共存」をめざすために全国のオモニが団結していくことを誓い合った。

 金会長は「先輩たちの意志を今に受け継ぎ、絆と団結をさらに深め、『共生・共存・共栄』の社会実現へ韓日両国の架け橋的役割を担っていこうと呼びかけた。

 組織有功者に対する表彰、全国百七十人のオモニによる「故郷の春」の合唱をはじめ韓国の歌手による歌謡ショーや、韓国舞踊など盛りだくさんのアトラクションで五十周年の祝祭を楽しんだ。



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