民団新聞 MINDAN
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写真で見る98年重要ニュース(本国編)



■新たな韓日パートナーシップへ

韓日共同宣言に調印し、固い握手を交わす
金大中大統領と小渕恵三首相

 金大中大統領が国賓として十月七日から日本を公式訪問した。三泊四日の公式日程中、金大統領は小渕恵三首相との首脳会談で共同宣言「二十一世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ」とこれを具体化する「行動計画」に署名した。

 共同宣言では小渕首相が日本の植民地支配によって韓国国民に多大な損害と苦痛を与えたと、加害と被害の主体を明らかにし、「痛切な反省と心からのお詫び」を述べた。

 金大統領は日本側の歴史認識を評価し、韓日の過去に決着をつけるとともに未来志向の両国関係構築を強調した。

 両国首脳は在日韓国人が韓日交流の「架け橋」の役割を担うと認識を一致させ、これを受けて大統領は首脳会談や共同記者会見、国会演説など、あらゆる機会に地方参政権の早期実現を訴えた。

 未来志向の韓日関係を象徴する二〇〇二年のサッカーW杯の共催については、成功に向けた両国国民の協力支援し、文化及びスポーツ交流を一層活発化することとした。金大統領は段階的に日本文化を開放することを明らかにした。


■コリアンパワー旋風

最年少記録を続出し、世界の顔となった朴セリ

 ゴルフの朴セリ、メジャーリーグの朴賛浩、囲碁の趙治勲がIMF体制で「苦痛の分担」を強いられている韓国民を勇気づけた。

 まず、日本の囲碁界で活躍する趙治勲本因坊(42)が前人未到の十連覇を成し遂げた。趙本因坊はこれで名人、棋聖の囲碁界三大タイトルを合わせ持つ「大三冠」を揺るぎないものにした。

 世界のゴルフ界は昨季がタイガー・ウッズ(米国)の年なら、今季は朴セリの年となった。全米女子プロ、全米女子オープンというメジャー2冠を最年少記録で達成したのが、女子ゴルフ界のスーパールーキー、朴セリ。

 朴選手の大活躍によって、韓国では、深刻な経済不況にもかかわらず、ジュニア世代のゴルフが急速に熱を帯び始めたという。

 もう一人、偉大なコリアンパワーを発揮したのがメジャーリーグの朴賛浩投手(ドジャース)。今年も十五勝を挙げ、同チームのエースとして看板スターとなった。

 一方、日本でもプロ野球のコリアンパワー三羽烏、宣銅烈(中日)、趙成ミン(巨人)、李鍾範(中日)が大活躍を見せ、韓国民だけでなく在日同胞を喜ばせた。


■政府50周年…「第2の建国」へ

「第2の建国」を宣言した政府樹立50周年式典

 五十三回目の光復節を迎えた八月十五日、大韓民国政府樹立五十周年慶祝式がソウル世宗文化会館で開催され、金大中大統領は国難克服と民族の再飛躍のために「第二の建国」にまい進しようと提唱した。

 「第二の建国」の趣旨は、二十一世紀型の先進民主主義を早期に実現ようというものだ。

 金大中大統領は、(1)国民参加による民主主義の実現(2)市場経済の完成(3)世界主義の実現(4)知識基盤国家の建設(5)新労使文化の創出(6)北韓との経済・文化交流の促進―などを国民に強く訴えた。

 民団では同日、韓国政府樹立五十周年と第五十三周年光復節を迎え、各地で慶祝式典を開催、本国に対する経済支援、民族金融機関の強化、地方参政権獲得に全力をあげて取り組むことなどをうたった決議文を採択した。

 また、ソウル市を中心とする首都圏を襲った集中豪雨による水害被災に対して、各地で自主的に義援金募金が行われた。創立五十周年を迎える地方があり、第二の創団へ新たな決意を誓った。


■北韓が弾道ミサイル

 北韓が八月三十一日、日本海に弾道ミサイル「テポドン1号」を発射。在日同胞はじめ周辺各国のみならず世界の非難が集中した。北韓は「人工衛星の打ち上げ」とミサイル発射を否定した。

 ミサイル発射に対して日本は即刻、KEDO(韓半島エネルギー開発機構)の進行や朝日国交正常化交渉再開、食糧支援など対北韓に関する動きを差し止めた。また、北韓へのチャーター便運行も不許可を打ち出すなど強硬な対北韓姿勢を見せた。

 このような中で東アジアの緊張を一気に高め、周辺諸国の軍備増強につながる今回の事件に対して、ミサイル開発そのものを中止し、冷戦構造に逆戻りさせるこのような暴挙を二度と繰り返してはならないとする在日同胞からの厳しい非難があがった。


■金剛山観光が実現

金剛山を訪れ、望郷の思いを叫ぶ韓国民

 北韓の東海岸沿いに位置する景勝地、金剛山への韓国人観光客を乗せた遊覧船の第一陣、「現代金剛号」が十一月十八日夕、韓国東部の東海港から初出航し、約五日間の観光を終え、二十二日に帰港した。

 金剛山観光は北韓出身の鄭周永・現代グループ名誉会長が構想したもので、南北分断後、初めて実現した民間レベルの大規模な往来。

 現代は、金剛山観光の独占的な展開などの見返りに、二○○四年までに総額九億ドル(約千八十億円)以上を北韓に支払う。

 初出航には鄭名誉会長、鄭夢九会長ら現代グループ幹部を含む乗客約九百八十人と、乗務員、ガイドなど計約千四百人が乗船。十九日早朝、北韓に入港、金剛山一帯を観光し、二十二日朝、東海港に帰港した。

 乗客の半数近くは、北韓に故郷や親族を持つ高齢者。観光団の往来で、南北離散家族の再会や故郷訪問を求める声が高まった。


■「国民の政府」が出帆

就任式で苦痛の分担を呼びかける金大中大統領

 金大中・韓国第十五代大統領の就任式が二月二十五日、ソウル市内の国会議事堂前広場で行われた。在日同胞千余人をはじめ、内外の招待客四万五千人が参加する中、新大統領は就任演説で、「IMF時代」からの経済克服を最大課題に挙げ、北韓から要求があれば、南北首脳会談に応じる考えがあると改めて強調した。海外同胞問題にもふれ、居住国で権利と義務を遂行できるよう積極支援していくと強調した。

 「国難克服と再跳躍の新時代を開く」と題する演説で同大統領は、新政権を「国民の政府」と位置づけた上で、経済危機克服に向け財閥などの改革を積極的に進めていく考えを強調した。

 また、経済的困難を克服し、韓国経済を再飛躍させることが直面する最大課題だとし、そのために民主主義と市場経済を発展させ、不正腐敗を防止するとの決意を表明。今後一年間、大量失業や物価上昇が予想されことも述べ、全国民が汗と涙をともにしながら、今日の困難を克服し明日への跳躍を実践しようと呼びかけた。



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