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激動の中で前進した98年



 韓国のIMF体制の中でスタートした一九九八年が幕を閉じようとしている。

 「苦痛の分担」、「IMF克服」、「第二の建国」「韓日パートナーシップ」、「地方参政権法制化」、「金融機関再編」、「コリアンパワー」など、在日同胞と韓日関係に数多きキーワードを残した一年だった。

 今年のもっとも大きな出来事に金大中大統領の歴史的な訪日があげられよう。大統領の訪日は、韓日の新たなパートナーシップづくり、在日同胞の地方参政権確立、日本文化の開放など、多大な成果を残した。


地方参政権運動に大きな転換期

 訪日の際に、金大中大統領は首脳会談、国会、同胞との懇談会など再三に渡って地方参政権について強く求めた。これによってわれわれ民団が総力を挙げて展開してきた定住韓国人への地方参政権獲得運動が大きな転換を見せ始めた。

 日本社会での世論も広がり、民主党と「平和・改革」(現公明党)が十月に、さらに十二月には共産党が衆議院に定住外国人への地方参政権付与に関する法案を提出するまでに至った。


韓信協信組の再編・統合

 もう一つ、在日同胞社会の経済基盤にも大きな転換期をもたらした。日本版ビッグバンに向け、厳しい金融競争時代の生き残りをかけた在日韓国人信用組合協会(韓信協)会員信組の再編・統合である。七月の韓信協総会で強力に推進していくことを決めた。

 同胞の血と汗の結晶によって築いてきた韓信協信組は在日同胞社会のメインバンクとして同胞の経済基盤を支えてきた。民団でも重要課題のひとつとして「心強い同胞の金融機関」を願い、総力結集することを誓った。


コリアンパワーの台頭

 このような本国の経済寒波、在日同胞社会の不況の中で、同胞たちの心を温めたのが韓国選手らの大活躍だった。

 長野五輪では、地元民団長野の団員を中心に後援活動を展開し、金メダル三個をはじめ六個のメダルを獲得し、総合九位というめざましい活躍を見せた。

 そしてゴルフの朴セリ、メジャーリーグの朴賛浩、日本囲碁の趙治勲など、世界に羽ばたくコリアンパワー旋風は「第二の建国」をめざす韓国民や同胞に新たな勇気を植え付けた。


韓日共生への槌音も

 一方、二〇〇二年ワールドカップ(W杯)韓日共催に向けた、民間レベルによるパートナーシップを大きく育てた年でもあった。

 在日体育会の働きかけで実現したフランスW杯での在日同胞と日本人サポーターによる「韓日共同応援団」は日本社会との共生をめざす上で大きな試金石になった。これは、サッカーを通じて韓日の若者たちが新しい友情を育んだのだ。

 九八年は在日同胞にとって「新たな愛国心」、「団結と連帯」、「相互扶助」、「日本社会との共生」を植え付ける、「激動の中での前進の一年」だった言えよう。

 九〇年代最後の年となる来年は、これら九八年の成果とこれまで地道に展開してきた運動の成果をつなげよう。

 そして、地方参政権獲得運動、民族金融機関の生き残り、新しい角度での民族社会教育、生活権の拡充など当面課題実現へ全組織、全同胞が力をひとつし、羽ばたく一年にしよう。

(1998.12.23 民団新聞)



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