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日本サッカー協会

岡野俊一郎会長に聞く



次代変える契機
「在日」のボランティア期待

■共催への期待

 二十一世紀最初のワールドカップであり、アジアで初めて、そして史上初めての共同開催だ。何としても成功させなくてはいけない重要な役割を担っている。日韓の両協会が協力して、万全の準備を整えたい。

 日韓間の過去の悲しい出来事はわれわれも充分承知している。政治、経済、いろいろな分野を見ても、今まで本当に韓国と日本が同じボートに乗り、同じ港に進む、ということは一度もなかった。それがサッカーというスポーツを通して、初めて実現される。波及効果という意味では、単にスポーツにとどまらず、日本と韓国の親善と友情をさらに深める非常にすばらしい仕事だと考えている。

 両国それぞれの組織委員会が中心になって、毎月一度は必ず会合を開いて具体的な問題について論議をしている。選手だけでなく、世界中のメディアが、自由に行き来ができるように、政府レベルで話し合い、協力しなければならない。

 昨年、金大中大統領がお見えになったが、天皇陛下からも大会の成功にむけてのお言葉があり、小渕首相との「共同宣言」の五番目に大会成功という文言がはっきり出ている。

 スポーツは同質文化で、人間だけがもっている素晴らしいものだ。この文化は民族、言語、イデオロギーというものを乗り越えて、人々の相互理解を深めることができる。


■日韓共生のあり方

 二〇〇二年の大会を通じて、スポーツが先頭に立ち、日韓関係のみならず、世界との交流を深める大きな飛躍の年にしたい。サッカーを二十一世紀の平和な、仲の良い世界をつくっていくための起爆剤にしたい。

 「一緒にフランスに行こう」という横幕を見て、時代の流れの中で、国境のない国際化の時代が来たと思う。日韓両国とも若い人たちが前を見て明るく生きようとしていると痛感した。

 フランス大会の予選を通じて生まれてきた素晴らしい状況だと思う。最近は日本でやる時には韓国からサポーターが来る、ソウルでやる時には日本のサポーターが大勢訪れた。サポーター同士が、お互いにエールを交換する時代になった。


■在日の役割

 十の開催自治体だけで行われるのではなく、日本で行われるものだから日本中の人が関心を持って欲しい。ボランティアとして協力してもらえる場を作っていくので、積極的に参加して欲しい。

 韓国も日本も極東に位置する。世界の人々が日本や韓国のことを充分に理解しているとは思えない。ワールドカップ開催で、極東地域が世界の中心になり、いろいろな情報が発信される。海外メディアの発信地点にもなる。世界の中のアジア、極東を知ってもらう大きなチャンスになる。

(99.01.01 民団新聞)



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