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埼玉県知事・土屋義彦(全国知事会会長)

次代の子らに夢と希望を



■埼玉開催への期待

 アジア地域で初めて、しかも、日本と韓国が共同開催する歴史的な大会となる「二〇〇二年日韓共催ワールドカップ大会」の開催まで四年となった。

 昨年二月、私は韓国政府から御招待いただき、金大中第十五代大統領の就任式に参列した。大統領主催の晩餐会をはじめ、二度にわたり金大統領と懇談する機会を得た。

 その席上、私は新大統領と固い握手を交わし、二〇〇二年のワールドカップの成功に向け、全力を傾注することを誓い合った。決勝戦誘致を含む本県の取り組みを説明するとともに、日本の全国自治体の代表として、両国の友好親善に尽くしたいという、日頃の私の考えを伝えたところだ。

 埼玉は我が国でも最もサッカーが盛んな地であり、これまでに多くの優秀な選手が誕生している。Jリーグ・浦和レッズは、人気ナンバーワンのチームだ。

 私は「次代を担う子どもたちに夢と希望を与えたい」「埼玉を日本はもとより、アジアのサッカーのメッカとしたい。そして世界の平和に貢献したい」との考えから、アジア最大級のサッカー専用競技場の建設を決断した。

 「二〇〇二年ワールドカップ、決勝戦は埼玉で!」と、埼玉県民のムードは大いに盛り上がっている。

 埼玉県では日韓共催大会の成功に向け、国際ユースサッカー埼玉県大会の開催や文化交流使節団の派遣などを通じ、日韓両国の青少年交流を活発に行っている。日韓両国の新時代を築くためにも、二〇〇二年ワールドカップの成功に向け、全力を傾注していく。


■日韓共生のあり方

 現在、日本と韓国とは、国際社会におけるパートナーとして、その関係を深めており、一九六五年の日韓国交正常化交渉を知る者として、今日の韓国の発展と日韓関係の成熟は、誠にうれしく、胸に熱いものを感じる。

 去る十月、金大中大統領が日本を公式に訪問されたが、歴史的に他のどの国よりも日本と関係が深く、また埼玉県ともゆかりの深い隣国、韓国との友好協力関係を真に築いていくためには、人と人、心と心のふれあいによる交流を重ね、お互いを理解し合うことが何よりも重要だ。

 本県としても、両国の次代を担う青少年を中心に、スポーツ、文化をはじめ、幅広い分野での日韓交流を積極的に進めていきたい。

 また、これまでなかった日韓知事会議を金大統領に提案したところ、快く了承された。現在、事務レベルで準備を進めている。


■21世紀の日本の役割

 国際社会において、我が国に期待される責任を適切に果たし、世界平和の実現に貢献していかなければならない。とりわけ、アジアの安定と繁栄に向けて経済支援などに積極的に取り組むとともに、大韓民国をはじめとするアジア各国とのよりよいパートナーシップを築き上げるなど、二十一世紀をアジアの時代とするための努力を続けていく必要がある。

 私としても、地方自治体だからできる、きめの細かな地方外交を展開し、我が国の果たすべき役割の一端を担っていきたい。


■在日韓国人へメッセージ

 私は参議院議員時代から数えて、大韓民国を二十一回訪問しており、親しい友人も多く、韓国を第二の故郷のように思っている。

 一九六六年に自民党訪韓団の一人として、初めて韓国を訪問したが、当時、朝鮮戦争で荒れた山々に再び緑を取り戻す運動が高まっていることを知り、苗木を送らせていただいたという思い出もある。

 私は二〇〇二年のワールドカップサッカー大会には、韓国をはじめ、世界の子どもたちに埼玉に来てもらい友好を深めてもらい、子どもたちの友情を通じて世界の平和に貢献したいと考えている。

 また、日韓共同開催を契機に、草の根による交流と相互理解を通じた両国の友好関係が一層深まるよう、努力していきたい。皆様にはぜひ御理解と御支援をいただくとともに、日韓両国の友好の架け橋として活躍されることを願っている。

(1999.01.01 民団新聞)



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