民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
≪民団1999年の課題≫



■韓日関係・98年の回顧

新政権発足し経済危機に対処
金大統領訪日で新たな韓日関係

 九八年は祖国・韓国においては金大中大統領が新たに就任、未曾有の経済危機と不透明感を増す北韓への対応、激変する国際情勢など、大きな試練に直面しつつも、これらを克服し九九年への新たな希望と展望を持たせる年であった。

 一方、日本の深刻な経済不況のただ中にあって、同胞社会では地方参政権獲得に向け大きな進展があり、また信用組合の統廃合を着実に進めるなど、安定した生活の土台作りに着実な一歩を残した。


■「国民の政府」発足

 昨年二月、民主的な選挙を通じて韓国憲政史上初めて与野党の政権交代が実現し、「国民の政府」をスローガンに金大中大統領が就任した。

 政権発足当初、「与小野大」状況のもとで国政運営に円滑さを欠いた時期もあったが、今や与党が国会の過半数を占め経済再生、南北関係の打開、国際関係を主導するに至っている。

 特に、金大統領は経済危機の克服に力を入れ、短期外債を中長期に繰り延べする一方、政府財政の超緊縮化や企業への整理解雇制の導入、財閥の構造改革を果敢に進めるなどで、経済の危機状況を脱出させ再生への基盤作りを進めた。

 北韓に対しては「太陽政策」を堅持し、政経分離の原則のもと金剛山観光を実現させた。国際関係においても、米国・日本・中国・アジア・欧州各国との首脳会談を精力的に行い、経済協力を取り付けるとともに関係改善の面でも多大な成果を収めた。


■北韓動向と南北関係

 北韓においては構造的な食糧不足による国民の飢餓をよそに、金正日の軍事独裁政権が確立され、数次にわたるセン水艦(艇)の南派、テポドンの発射、地下核施設疑惑に見られるように軍事路線が強化された。

 昨年九月、金正日が国防委員長に就任、軍部を背景に名実ともに軍事独裁の体制を整えた。テポドンミサイルの日本沖合への発射、疑惑を増す地下核施設は北東アジアだけでなく、国際的な緊張を極度に高める軍事脅威となっている。

 一連の軍事行動は、韓国政府が進める「太陽政策」に冷や水を浴びせ、対米交渉での優位を確保しようとの狙いと見られている。


■経済危機へ対処

 九七年年末、外貨不足が引き金となり突然の危機が韓国経済を襲った。外債が千五百五十億ドルあるにもかかわらず、手持ちの外貨はわずか三十八億ドルにまで減少、一時は「国家破産の危機」(金大統領訪日時の国会演説)にまで追い込まれる状態に至ったのは記憶に新しい。

 韓国政府は、IMFなど国際機関から総額五百五十億ドルの融資を受ける一方、短期債務を中長期に借り換えるなどの措置で、今では外貨準備高も四百六十億ドルにまで増加した。失業者の増大というマイナス要因を抱えながらも、今年後半には経済は全般的に回復するだろうとの予測がなされるまでになった。


■韓日関係の修復

 韓日関係においては、金大統領の訪日によって近年歴史認識や漁業問題などでぎくしゃくしていた両国関係が修復され、二十一世紀に向けたパートナーシップを確認するなど、大きな成果を残した。

 十月に行われた金大中大統領の訪日に際し、植民地支配に対する反省が初めて共同宣言文に明確に盛り込まれ、日本は歴史問題に対し率直な謝罪を行い、両国の間での過去の清算に区切りをつけた。今後、歴史認識を巡る論議が二度起こらないものと期待される。

 これを基礎に二十一世紀へのパートナーシップが確認されるなど、来世紀に向けた新たな関係の土台を構築した点で、大統領の訪日は両国関係に画期的な転換をもたらした。



■民団・98年の成果

参政権や地位向上に弾み
日本政党が国会に法案提出
本国経済支援へ外貨預金

■真剣さ増す日本側

 地方参政権の獲得を目指す七十万在日同胞にとって、九八年は運動を進めていく上で大きな転換点となる年であったと言える。十月に行われた金大中大統領の訪日によって、地方参政権獲得への新たな契機を作り出した。

 金大統領の訪日は、九五年の「定住外国人に地方選挙権を与えることは憲法に違反しない」との日本最高裁の判決に匹敵する画期的な成果を残した。大統領の在日同胞に対する多大な関心と深い愛情に、今一度感謝の意を表したい。

 金大統領の訪日は、地方参政権を巡る動きを活発化させ、日本政府閣僚から実現への前向きな発言を引き出す一方、野党が法律案を国会に提出する契機を作ることにもなった。

 金大統領は日本滞在中、小淵首相との首脳会談、国会演説、記者会見等で在日韓国人への地方参政権の付与を強く要請した。国会演説では「地方参政権が早期に実現できれば、在日韓国人だけでなく、韓国国民も大いに喜び、世界もまた日本の開かれた政策を歓迎してやまない」と、日本国民を代表する国会議員らに地方参政権の付与を訴えた。

 これに呼応するかのように野中官房長官は、金大統領の演説を「重く受け止める」と発言したのに続き、選挙を担当する西田自治大臣も、辛容祥民団中央団長に対し「真剣に検討する」と約束、日本政府として何らかの対応を示唆した。


■法案、国会に提出

 大統領訪日の前日に民主党と新党平和(現公明党)が共同で、また共産党が十二月八日に独自案として、それぞれ永住外国人に地方参政権を付与する法律案を国会に提出した。

 これは、地方参政権の獲得を目指して九四年から挙団的に活動を展開してきた民団の大きな成果のひとつである。北は北海道から南は沖縄まで、全国津々浦々で地方本部・支部の幹部が総連の反対策動をものともせず、地方自治体議会に対して地道に意見書の採択を求めてきたことが、国会への法案提出という具体的な形として現れたのである。

 法案が国会に提出されたことで、今後国会で活発な議論が展開される見通しとなったことは確かだ。在日韓国人としては、原則的立場を繰り返し訴えていくことになろう。

 民主・公明党案と共産党案の内容に差異はあるものの、当事者である在日同胞の意見を十分に反映したうえ、国会は論議を尽くして超党派的にぜひ二十世紀中に成立させてもらいたいものである。


■愛国心から本国支援

 「六・二五」以後、最大の国難にあると言える本国は、政府の超緊縮政策や産業の構造調整、この過程で生じる大量の失業者などで苦しみに喘いでいるのが現状だ。

 本国の危機に際し、民団はいち早く対応に立ち上がり、同胞一世帯につき十万円ずつを本国に送金・預金することで支援することを決めた。本国の危機的な時にこそ力を合わせて支援しようとの純粋な愛国心から出たものであった。

 その結果、支援開始から約一年で目標とした百二十億円を大幅に超える七百八億円(十一月末現在)が送金された。予想をはるかに上回る送金があったことだけでなく、四万件を超える件数があったことで、どれほど幅広い層の同胞が本国経済の危機に強い関心を抱いているかを容易に知ることができる。

 在日同胞が愛国心を発揮し、団結した行動によって本国経済の危機脱出の一助となれることができたと自負できるものである。

 本国経済は、今まさに真の意味で先進国入りへの陣痛期にあると言える。今年一年がその山場となるのは衆目の一致するところだ。私たちは既に、本国がIMF体制から脱却する日まで引き続き支援を行うことを明らかにしている。同胞の力を最後まで結集していこうではないか。


学び働く民団へ組織研修

■組織研修の実施

 いかなる組織にあってももっとも必要なことは、全組織的な意思統一と行動の統一である。民団は昨年、前半期と後半期に全国の地方本部単位での研修会を行った。

 ほぼすべての地方本部で合計四千人ほどの幹部が、最近の情勢と当面する課題、民団の在り方についての研修を受け、最重要課題である地方参政権の推進、信用組合の育成などについて議論を闘わせた。

 一方、民団が「生活者」の組織として、同胞が日常生活を営んでいく上でどのような要求を持ち、組織に何を望むのかを常に念頭に置き、その要求を具体的に汲み上げていくことの必要性を確認しあった。


■民族大学常設教室も

 世代交代が急進展している同胞社会にあって、何より緊要な課題は子弟への民族教育である。韓民族としての主体性を育て、確立するための教育なくしては同胞社会が共同体として存立することが難しくなる。

 そのような立場から昨年も民族素養を養い、文化を継承していく場として「民族大学・コリアンアカデミー」「十月のマダン」が全国各地で開催された。

 民族文化を継承していくことを目的とした十月のマダンだが、最近は同胞のみの集いにとどまらず、地域社会での共生を目指して日本人市民を巻き込んで開催する傾向が出てきている。歓迎すべき動きだ。

 わが悠久の文化を日本の一般の人たちにも知ってもらえる大変重要な機会となるばかりでなく、一般市民に在日同胞を理解してもらえる大きな契機となるからだ。

 民族学校での教育を受けてこなかった大多数の同胞にとって、民族大学・コリアンアカデミーは民族的素養を身に付ける唯一の場である。

 二年目を迎えた東京コリアンアカデミーは、同胞の間に定着しつつある。大学教授や弁護士、会計士など同胞を中心とした講師陣が専門分野の講義を担当し、深く掘り下げた講義を聞けることが同胞に受け入れられた。


■同胞青年の結婚・就職

 同胞同士の結婚を望みながらも互いに知り合える場が極端に少なく、そのような「場」作りを望む声が特に同胞居住過疎地域から強く出されていた。

 この声に応えるべく、民団では九五年度から結婚問題に本格的に取り組み始め、昨年も全国各地で若者の「出会いの場」を作ってきた。

 結婚の意思を持つ同胞を一元的に登録・管理しているが、登録者数はすでに数千人に上っており、同胞間結婚を促進する事業として完全に定着した。

 同胞青年の今ひとつの大きな悩みは、就職問題である。未だに残る同胞に対する日本社会の偏見によって、同胞学生の就職活動はままならない状況にある。近年は特に、経済不況のあおりを強く受け同胞学生の就職活動はこれまでになく厳しいのが実情だ。

 九六年から始めた同胞のための就職斡旋事業を昨年は東京、大阪、愛知、福岡で開催、就職を希望する新卒予定者からだけでなく、同胞企業からも大きな反響を得た。



■南北関係・99年の概観

緊張続く対北韓関係
在日同胞経済に支援策を

 本国にとって九九年は、経済面で明るい見通しが出てくる半面、南北関係で緊張を強いられる年になりそうだ。在日同胞社会においては、地方参政権獲得運動や信用組合の育成という点で同胞の力量が問われる年になるであろう。


■太陽政策を継続

 韓国においてはIMF体勢を克服し、経済危機を克服することが最重要課題であろう。外貨不足は解消したものの、高い失業率の解消や沈滞する消費経済の活性化、産業構造の改革など、厳しい課題が山積している。

 対北政策では太陽政策を引き続き進めていくであろう。四者協議の急な進展は望むべくもなく、平和の枠組み作りには依然として苦慮せざるを得ない。引き続く北韓・金正日の冒険主義的挑発への対処にも昨年以上に神経を使わざるを得ないだろう。

 北韓は相変わらず食糧難が続き、国民の飢餓状況は悪化の一途をたどるであろうことは間違いない。今後、外国からの支援の受け方はますます恫喝的になる可能性がある。

 支援食糧が一般住民に渡らず軍隊に貯蔵されているのでは、との疑惑が解消されないことが国際的に問題となり、国際社会から純粋な人道的支援が受けにくくなっているのは事実だ。

 支援を取り付けるため、北韓としてあらゆる手段を弄することが予想される。


■同胞信組の支援も

 日本経済は、全般的に不況の域を抜け出すのにまだ時間がかかるとみられているが、昨年末から小売業など一部業種に多少の明るさが見られるようになったとの報告も出はじめている。

 中小零細企業が圧倒的多数を占める同胞企業は、当然ながら日本経済の影響をもろに受ける。数年にわたる不況によって、同胞企業の体力は限界に近づいていると思われる。

 日本経済の回復基調に乗り遅れることなく、いち早く立ち直れるよう同胞金融機関などのあらゆる支援が必要とされるところだ。

 日本の金融改革が大詰めを迎える今年、同胞信用組合の再編・改革は待ったなしの正念場を迎える。

 同胞経済の根幹をなす金融機関に対する支援がもっとも必要とされる時である。



■民団・99年の課題

■地方参政権が正念場

 今年、私たちは昨年の一連の具体的な動きをいかに法制化につなげていき、二十世紀の内に地方参政権を獲得するかの正念場を迎えることになる。

 日本は四月に統一地方選挙を迎える。自民・自由両党の連立政権が発足した今年、統一地方選挙の結果次第によっては一段の政界再編のきっかけとなる可能性を含んでいる。

 私たちが今まず第一に力を入れなければならないのは、なんと言っても引き続き地方自治体の意見書の採択に励むことである。現在四二%ほどの自治体採択率をなんとしても過半数にもっていき、自治体がこぞって地方参政権の付与に賛成していることを明らかにしていくことである。

 この作業は地道で根気のいることだが、地方自治体の多くの有力者の理解を得ることは、今後の民団活動を進めていく上にも非常に有意義なこととなる。

 第二に、国会議員に理解を深めていただく活動を強化することである。法案が国会に上程されている以上、今後の焦点が国会論議に移っていくのは当然のことである。議員一人ひとりに法制化への努力と超党派での採択を求め、根気よく活動を続けていかねばならないだろう。

 同時に、日本の一般市民の理解を得る活動が一方で求められる。地域社会での共生を目指す同胞にとって、一般市民の共感なしには地方参政権獲得の意義が半減するからである。世論の盛り上げを喚起する活動が必要となる。


韓信協信組・大幅改編へ待ったなし

■信用組合の健全育成

 日本の長引く不況によって同胞社会の経済活動は困難な状況に置かれている。同胞信用組合は昨年から実施された金融改革法によって統廃合を含む大幅な再編を余儀なくされている。既にいくつかの信用組合では具体的措置がとられ、いまこの瞬間も身を削るような努力で合併・統合が進められている。

 比較的零細規模の同胞商工人が経済活動を進めるためには、強力な民族金融機関の存在が絶対不可欠の条件だ。

 ましてや、日本の銀行が貸ししぶりと融資先の選別を厳しくしている折、最初に犠牲になるのは同胞の零細企業であることを私たちは過去の経験からよく知っている。

 二〇〇一年四月からの完全な金融自由化時代を目の前にして、今年こそ私たちは総力を挙げてその備えを築かなければならない。金融機関の弱肉強食時代が、今まさに始まろうとしている。大胆な改革で、競争に打ち勝てる同胞信用組合を作らねばならない。


支部活性化・組織幹部研修を日常化

■信頼される民団に

 全団的課題に取り組むための意思統一と行動統一は、組織にとって欠かせないものであることは言うまでもない。昨年に引き続き全地方本部での研修を実施するとともに、支部単位でも日常的に研修が行われるようにしていく。

 民団の創団精神は「相互扶助」にある。「信頼される民団」「団員に奉仕する民団」「学びながら仕事する民団」のスローガンは、同胞を中心に組織運営を図っていくことを明確に表したものである。

 同胞と最前線で接する支部組織が同胞の要求を的確に汲み上げ、これを実現させていく体制をきちんと作らなければ、同胞からの全幅の信頼は得られない。同胞の要求に応えうる組織作りを行っていくと同時に、支部組織の活性化を図っていく。

 同胞が困難な状況にあるときには互いにこれを助け合い、個人の力が及ばない問題には組織として対応していくことが基本だ。

 日本社会がいろんな意味で複雑さを増す中、在日同胞の生活も様々な面で日本人以上に困難な問題を伴うことが多々ある。個人で解決しづらい問題に組織として具体的な支援を行っていける枠組みを準備していかねばならない。

 今年は、研修を通じて培われた学ぶ姿勢と団員に奉仕していく精神を実際活動の中に大胆に取り入れていきたい。


民族社会教育・中堅本部で民族大学実施

■民族大学広く実施

 二世・三世が三世・四世を育てていくという時代にあって、民族学校教育に吸収できない同胞のために民族社会教育の一層の拡充を図っていく。

 開始以来六年目を迎えようとする講座制「民族大学」を、中堅地方本部を対象に幅広く実施していく。五年間の経験を基礎に、より多くの同胞の参加が得られるよう内容を充実させる。

 また、九八年に東京で試験的に始められた民族大学の常設機関「コリアンアカデミー」も好評で、着実に定着しつつある。今年は東京だけでなく、大阪でも開講していくよう努力していきたい。

 各地方に根を下ろし始めた十月のマダンを、同胞らが自由に集う「祭り」として定着させていく。マダンを通じて自発的で自主的な文化活動が芽生える環境を整えていくべきだ。

 また、昨年いくつかの地方本部が試みたように、日本人にも参加を呼びかけマダンを地域に開放していく努力が求められる。


■W杯後援を具体化

 韓日共催で実施されるサッカーワールドカップ二〇〇二年大会まで、あと三年あまり。過去に例のない二国での共同開催は、韓日両国がより親密な協力関係を築けとの世界各国からのメッセージでもある。

 ワールドカップの意義は、スポーツを通じて国家間の友好関係を増進させることにある。

 サッカーワールドカップは、在日同胞が韓日間の架け橋として真の役割を果たす千載一遇の機会である。両国関係を真に「近くて近い」ものに発展させるべく、民団は全組織を挙げて後援事業に取り組んでいく。


朝鮮総連との交流、対立こえ、和合を

■総連と和合・交流へ

 昨年五月、総連は第十八次全体大会を開催した。大会は相変わらず北韓・金正日に対する賛美一色で、総連が北韓・金正日に盲従していく姿勢を変えていないことを改めて印象づけた。

 朝銀、商工会など経済部門の不振ばかりでなく、総連の存立基盤のひとつである民族学校も生徒数の激減状況が続き、総連の組織力は弱体化しているのが現状だ。このような中、総連離脱者は年間五千から六千人の規模で続いており、硬直した総連の体質への批判はますます高まっていくであろう。

 十八全大会の首脳人事もすべて北韓の指示によってなされたと言われ、総連同胞の中には末だに人事まで北韓・金正日に左右される総連指導部に愛想を尽かす声が強まっている。総連指導部は、一日も早く在日同胞の立場に立った活動に立ち返るべきである。

 同じ歴史的背景を持ち、長年日本社会にあって韓民族として苦労をともにしてきたのには、民団同胞も総連同胞も変わりはない。南北分断と東西冷戦状況を反映して、時には同胞同士が対立もしてきたが、二十一世紀を目前に、今や過去の対立を超え、和合すべき時が来ているのではないだろうか。

 思想や信条の相違を乗り越え、同じく日本社会で生活していく者として積極的に交流を進めていくべき時が来た。民団は今年、このことを総連同胞に大胆に呼びかけていきたい。


■北送同胞に救いの手を

 一方で、北韓では在日同胞にとって胸痛む事態が進行している。何不自由ない生活をする一部幹部を別にすれば、数年来の食糧難によって一般国民の飢餓状態が続いており、一説には百万人の単位で死者が出ていると言われる。

 このような中、「祖国の発展に尽くす」と希望を抱いて四十年前に始まった北送事業によって「帰国」した同胞が、命がけでその「祖国」を脱出しているという。日本市民団体によると、既に十七人を確認している。

 北送同胞の家族・親戚は民団・総連の所属を問わず多くいる。在日家族らの胸中を思い測るとき、私たちは北送同胞の境遇と生命と安全に無関心ではいられない。同胞一人ひとりが、積極的に支援していくことが望まれる。

(1999.01.01 民団新聞)



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