民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
民団中央団長新年挨拶

共生社会への里程標築く年に



 親愛なる在日同胞のみなさん!

 一九九九年、己卯年の元旦を迎え、在日同胞のみなさんに謹んで新春のご挨拶を申し上げます。

 顧みれば、九八年は在日同胞にとって大きな前進をもたらした一年でありました。私たちが全組織をあげて推進してきた地方参政権獲得運動は、ようやく日本の国会で法制化審議の段階にまで達しました。

 去る九月、ソウルで開かれた第二十五次韓日・日韓議員連盟合同総会では、初めて「法制化」の文言を明確にした決議を行い、続けて十月、十二月といくつかの政党が法案を日本の国会に提出しました。

 これらは民団が長年要望してきた成果だと高く評価できると同時に、地方参政権運動が、今や日本社会の奔流になったことを表すものと言えます。

 さらに、十月に国賓として訪日した金大中大統領は、韓日共同宣言、首脳会談、国会演説などで、永住韓国人の地方参政権付与を再三にわたり日本政府に要請して下さいました。

 韓日共同宣言では、在日韓国人をして「韓日両国民の相互交流・相互理解のための架け橋としての役割を担う」存在と位置づけ、その地位の向上に努めることで小渕首相と意見の一致を見ました。

 また、国会演説で「日本社会により多く貢献できる立派な構成員となり得るよう、制度的条件と社会的雰囲気がさらに改善されるよう」要望し、「地方参政権が早期に実現できれば、在日韓国人だけでなく、韓国国民も大いに喜び、世界も日本の開かれた政策を積極的に歓迎してやまないだろう」と踏み込む発言をしました。

 このような金大統領の積極的な姿勢に、日本政府も即時反応し、西田自治大臣は「法制化について真剣に検討したい」と述べるにいたりました。

 地方参政権は来る二十一世紀に在日韓国人が、在日韓国人として日本の地で堂々と生きていくために、なくてはならない基本的な権利であることは言うまでもありません。


 親愛なる在日同胞のみなさん!

 日本の長期的な不況は、在日同胞社会にも深刻な影を落としています。昨年四月から実施された金融改革法などにより、在日同胞の信用組合は統廃合を含む組織改編を迫られています。

 在日同胞社会が健全に存続していくためには、経済基盤の安定は欠かすことができません。二〇〇一年四月からは、金融の国際化と自由化時代が訪れます。これに対応するためには、多くの苦痛も耐えなければなりませんし、私たちの血と汗と涙の結晶によって築き上げた民族金融機関の灯を消してはなりません。

 信用組合の自体内改革と合わせ、強力な金融機関を築くために、民団としては全同胞的にさらなる育成・強化に続ける覚悟であります。


 親愛なる在日同胞のみなさん!

 本国がIMF体制下に置かれて一年が過ぎました。民団では一昨年末以来、外貨預金・送金運動など、経済支援活動を大々的に開始し、その額は去る十一月末までで四万件、七百億円を超えています。

 また、本国への観光誘致活動を行い、在日韓国人の企業家に働きかけて本国投資も積極的に促進してまいりました。これはひとえに、在日同胞の自発的な愛国心の発露として高く評価され、自負できるものであります。

 民団は本国がIMF体制下から脱し、金大統領が提唱した「第二の建国」運動に歩調を合わせて、本国が再跳躍するために愛国心を発揮して経済支援の一翼を担う覚悟でおります。


 親愛なる在日同胞のみなさん!

 今年一九九九年は来る二十一世紀の鼓動が、すぐま近かに聞こえる年になることでしょう。私たちは二世以降の世代が日本人と肩を並べ、「共生社会」を実現するために、一日も早く地方参政権を実現するよう再度心を一つにし、今年は大きな里程表を築く年にしていきましょう。

 そのためには、中央本部と地方本部が一丸となって、日本国会をはじめ、全ての地方議会にいたるまで、法制化に向けて強力に陳情していくことを基軸に、一人でも多くの日本人に、地方参政権問題の理解を得るために、世論の高揚に尽力していきます。

 金大統領は二十一世紀の新しい韓日パートナーシップ宣言を共同発表しましたが、私たち民団も新しい世紀にふさわしい国際的な事業、W杯の韓日共催成功に向けて、九九年をその元年にしたいと思います。具体的には後援会組織を構成し、史上初めて共催となる祭典が、韓日のパートナーシップを揺るぎないものにすることはもちろん、アジアやひいては世界平和に貢献することができるよう、民団として全力量を傾注する所存です。

 己卯年の新春にあたり、民団は地方参政権獲得、信用組合の育成・強化、本国への経済支援を三本柱に、さらなる努力を続けていきます。

 在日同胞のみなさんも民団の運動に積極参与することを訴えると同時に、同胞の一人ひとりの夢と希望がかなえられる年になることを祈願しながら、あいさつに代えたいと存じます。

1999年元旦
在日本大韓民国民団中央本部
団長 辛 容 祥

(1999.01.01 民団新聞)



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