民団新聞 MINDAN
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団結力でさらなる前進を



 百二十九人の尊い同胞の生命を奪い、五千世帯もの同胞住宅をがれきにしてしまった、あの阪神大震災から四年が過ぎた。震災直後、民団は組織を挙げて被災同胞の救援に乗り出した。

 全国各級組織からの救援物資に加え、在日韓国医師会の医療奉仕、同胞弁護士・税理士らによる法律や税務に関する相談、韓国商工会議所による建物の建設相談、関西興銀による再建のための融資活動など、それぞれの団体が自らの専門分野で幅広い支援活動を行った。


■民団は「相互扶助」組織

 会社・学校を休み全国各地から救援に駆けつけた多くの在日同胞青年・学生たちは、満足な宿舎すらない中で不平も言わずひたすら物資配布と炊き出しなどの活動に専念した。

 各界各層の同胞がもてる能力を存分に発揮し救援に当たったことで、どれほど被災同胞の生活を助け、精神的に勇気を与えたことであろうか。

 一方で、自ら進んでボランティアをかって出た多くの各界同胞の姿に、将来の同胞社会のあるべき姿を感じさせられもした。

 民団の創団精神は「相互扶助」にある。同胞を思いやる気持ち、困った同胞の役に立とうとする心からの自然な気持ち、これこそがまさに同胞愛であろう。この同胞愛があったればこそ、阪神大震災という未曾有かつ突然の事態にも同胞の力が結集されたのである。

 今年、私たちの前には在日同胞社会の将来の明暗を左右するほどの三つの大きな課題が提起されている。阪神大震災で示された同胞の結集した力を担保に、これら課題の達成に向けさらに前進していこうではないか。


■地方参政権・信組・W杯

 第一に、私たちは今年、二十世紀内に地方参政権を獲得できるどうかの正念場を迎える。私たちがまず為すべきことは、自治体の決議採択率を是非とも過半数にもっていき、自治体がこぞって賛成していることを明らかにすることだ。

 また、法案が国会に上程されているなか、議員一人ひとりに法制化への努力と超党派での採択を求める活動を根気よく続けていくことも必要である。同時に、日本の一般市民の理解を得る活動も求められる。

 第二の課題は、同胞経済の血脈である信用組合の強化育成である。同胞信用組合は昨年から実施された金融改革法によって統廃合を含む大幅な再編を余儀なくされている。既にいくつかの信用組合では具体的措置がとられ、いまこの瞬間も身を削るような努力で合併・統合が進められている。

 二〇〇一年四月からの完全な金融自由化時代を目前にして、今年こそ私たちは総力を挙げてその備えを築かなければならない。大胆な改革で金融競争に打ち勝てる同胞信用組合を作るため、同胞の力を結集する時が来ている。

 第三の課題はサッカーW杯に対する後援事業の本格化である。韓日共催で実施されるサッカーW杯大会まで、あと三年。史上初の二国での共同開催は、韓日両国がより親密な協力関係を築けとの世界各国からのメッセージと受け取ることもできる。

 サッカーW杯は、在日同胞が韓日間の架け橋として真の役割を果たす千載一遇の機会である。全同胞を挙げて後援事業に取り組んでいこうではないか。

 阪神大震災の救援活動に結集した全国の団員・組織幹部の力を、今年の活動に大いに活かしていこう。

(1999.01.20 民団新聞)



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