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日本の「開かれた政策」を望む



 「地方参政権が早期に実現できれば、在日韓国人だけでなく、韓国国民も大いによろこび、世界も、日本の開かれた政策を積極的に歓迎してやまないでしょう」。

 この言葉は、昨年十月、金大中大統領が日本国会において、七百五十余人の衆参両議員に向け強く訴えたものである。


■金大中大統領の発言の重み

 去る十九日から通常国会が始まっている。日本の国会が金大統領の要請をどう受けとめ、どう審議し解決していくのか。私たちは注視せざるを得ない。

 その意味で、現在、衆議院で継続審議となっている「永住外国人に対する地方自治体の議会の議員及び長の選挙権等の付与に関する法律案」を与野党がどう扱うのか。

 在日韓国人のみならず韓国国民も、また日本に住む他の定住外国人も、また日本の民主主義と人権に関心のある多くの日本国民も、強い関心を持っていることを忘れてはなるまい。

 さらに、定住外国人の地方自治体参政権の確立を求めて意見書採択した、千三百以上の全国自治体議会の存在も国会は無視してはならない。意見書採択数からみた日本の人口比では、すでに七一%の日本国民が定住外国人に地方自治体レベルの参政権を与えてもいい、といっているのである。

 ところで金大中大統領が、共同宣言、首脳会談、国会演説などで在日韓国人の地方参政権付与に踏み込んだ発言を繰り返すのには、次の根拠があることを忘れてはならないだろう。

 すなわち在日韓国人三世以降の法的地位や処遇等を取り決めた、いわゆる「九一年問題」の韓日外相覚書が取り交わされたとき、在日韓国人の「地方自治体選挙権については大韓民国政府より要望が表明された」と明記されている。従って在日韓国人の地方参政権問題は、両国政府が協議をし回答を出すべき課題の一つなのである。

 また「九一年韓日外相覚書」以降、地方参政権を認知する動きが日本社会で定着してきていることも忘れてはならない。


■日本政府・国会への期待

 第一に、九五年二月に最高裁判所が日本に永住する外国人住民に対し、地方参政権を付与しても違憲ではないとする判決が出ていること。

 第二に、本団の運動とこれに理解を示す地方自治体議会によって、全国三千余の自治体においてすでに千三百八十以上の議会が、日本政府に対して定住外国人住民の地方参政権を確立するよう意見書を提出していること。

 第三に、昨年九月ソウルで開催された日韓・韓日議員連盟合同総会で、「法制化」の文言を明確にした決議をし共同声明として発表したこと。日韓議連所属議員の多くが与党であることを考慮すると、この「法制化」決議の意義は大きい。

 第四に、上記したように日本国民の相当数の支持を有する複数の政党から国会に法案が提出されたことである。

 通常国会の会期は百五十日間である。一部では与党が法案の趣旨説明も実質審議も回避し、廃案にもっていこうとするのではないか、と危惧されている。このようなことがあってはならない。政府もこれ以上、「幅広く検討する」という消極的な答弁を繰り返すことにのみ終始してはなるまい。

 上記したこの間の一連の流れを真摯に受けとめ、今国会で法制化のための前向きな結論を出すべきである。

 私たちは、「日本の開かれた政策」を切に望んでいる。

(1999.01.27 民団新聞)



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