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広がる同胞老人の輪

川崎「トラヂの会」が1周年



にぎやかに食事を楽しむ「トラヂの会」のお年寄り同胞
(99年1月13日の定例会で)

会員倍増、100人越す
よみがえる笑顔

 【神奈川】川崎市南部の在日韓国・朝鮮人多住地にあって、地域同胞お年寄りの交流の場となっている在日高齢者サークル「トラヂの会」が、発足から一周年を迎えた。参加者は地元の桜本ばかりか隣りの鶴見区や東京都内にまで広がっており、参加会員数は当初の四十人から百人に増えている。二十三日には同会の会場となっている桜本小学校内幼稚園舎で記念の祝会が行われた。

 「トラヂの会」(世話人代表、李貴名さん)は九八年一月二十四日、在日同胞の高齢者四十人の参加のもと出発した。例会が開かれるのは毎週水曜日の昼。桜本小学校の敷地内にある桜本幼稚園園舎を川崎市から借り受けて、食事会と歌や踊りなどのレクレーションを楽しんでいる。会員はこの一年間で登録者だけで七十人に増えたが、実際の延べ参加者は百人を数える。

 食事はキムチとスープ、ごはんだけの簡単なメニユー。でも、毎回、四十人以上がそろい、一緒に食べるとなればおいしさも格別。桜本小の生徒が家庭科実習で調理したチヂミを差し入れしてくれたり、一緒にわらじをつくったりしたこともある。こうした世代を超えた交流も、お年寄りの楽しみのひとつ。

 第四土曜日の交流会では畑仕事や野外学習、一世同胞からの生活史の聞き取りなどを行ってきた。旅行もハルモニたちにとっては大きな楽しみのひとつだ。

 金福順さん(72)=鶴見区在住=は、いろんな人から"明るくなった"といわれるという。「雰囲気が楽しい。いろんな人に会えるし…。くよくよしなくなった」と笑顔で語ってくれた。

 「トラヂの会」を支えている数十人のボランテイアのうちの一人で、川崎市ふれあい館(襄重度館長)の識字学級で「共同学習者」として金さんらの指導にあたったこともある谷本静子さんは、「ハルモニたちの顔が生き生きとしてきた。日本人のお年寄りならば、八十歳ともなればショボンとなるのに、逆に元気になる」とびっくりしていた。

 なお、「トラヂの会」の日常的な運営を担っている社会福祉法人青丘社(李仁夏理事長)によれば、年間予算五百万円はクリスチャンを中心とする「全国の志のある市民」の献金でまかなっている。

 会員からは韓国へ旅行に行きたいという声も上がっており、来年以降は予算も一千万円ほどに膨らむ見込みだ。このため、川崎市に対しても二十一日、正式に支援を要請したばかり。

 李仁夏理事長(73)の夢は、交通至便な場所にキムチとたくあんの両方食べられる老人ホームを建てること。土地さえ提供を受けられれば、建設資金三十億円は全国行脚してでも自力で集める自信はあると意気込んでいる。

(1999.01.27 民団新聞)



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