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「2・8独立宣言」80周年を迎えて



 わが民族の精神的支柱である三・一独立運動の導火線となった二・八独立宣言が、東京で留学生たちによって高らかに叫ばれてから八十年を迎える。

 毎年この日、二・八独立宣言ゆかりの地である、在日韓国YMCAで記念式典が開かれているが、今年はとくに、韓国の独立有功者協会と在日韓国YMCAが共催となり、内外の注目を集めている。本国政府関係者をはじめ光復会、独立有功協会のメンバーら多数が来日する。

 在日韓国YMCA会館の正面には白亜のモニュメントが誇らしげに立っている。今から十七年前の一九八二年、六十三周年を迎えた時、本団の傘下団体である青年会、学生会と青年商工会らの代表によって、先達の精神を讃え、その継承を期して建立した「二・八独立宣言記念碑」だ。

 二・八独立宣言を在日同胞の民族運動の嚆矢として位置づけ、その精神の継承を謳ってきた本団として、八十周年を迎えるにあたって、改めてその意義を考えてみたい。


不退転の勇気

 一九一九年二月八日、日本の植民地支配にあえぐ祖国の窮状を打開すべく、日本に留学していた韓国人学生六百余人が心臓部の東京で民族の自主・独立を叫び決起した。宣言書で「正義と自由を基礎とした民主主義の先進国の範にしたがい、新国家を建設する」と謳い、日本の軍国主義のもとでは不可能であると批判した。

 わが民族の二十世紀は、実に苦難の時代であった。その克服のために血と汗と涙にまみれた闘いの連続であった。弱肉強食の帝国主義の時代に日本の植民地に転落したことから、民族的屈辱にまみれ、民族の離合と分裂をもたらし今日まで続いている。

 時代の先駆けとして、命を顧みず敢然と立ち上がった彼らの純粋でひたむきな愛国・愛族の行動は、祖国の志士たちを奮起させ、三・一独立運動として決起させた。さらに当時、同じ立場にあった中国、インドの人々に大きな影響をあたえた。

 二・八から三・一独立運動へと続く先達らの不屈の闘いが、在日同胞の民族運動へと継承され、民団の結成とその求心力となったことは言うまでもない。


真の独立と自主性をめざし

 来る二十一世紀のキーワードは、「自由と人権、そして平和」と言われる。対立の時代から共生・共存の時代へと移行していくなかで二十世紀の負の遺産の克服にむけ、二・八の崇高なる精神を発揮し、課題の克服には不退転の姿勢で臨まなくてはならない。民族の完全自主独立は、祖国の統一であり、民族の和合である。我々は本国の宥和政策による統一を願うとともに、在日同胞社会の統合にむけて努力することが二・八精神の具現である。

 また、本団が総力をあげて推進している地方参政権獲得運動は、まさしく民族の自主性を確立することなのである。昨年十月、金大中大統領の日本国公式訪問によって法制化への弾みがついた。

 在日韓国人が在日韓国人として在日韓国人らしく生きていける共生社会の実現に地方参政権は不可欠の権利である。アジアの人権意識は欧州に比べて遅れていると言われるが、法制化が実現すればアジアで最初の試みとなろう。そのことによって韓国と日本の更なる友好と親善が一段と強固なものとなり、アジアでともに生きる多くの民族に対する模範的事例となるだろう。

 二・八精神を今日に継承し、民族の平和統一と民族の尊厳性の確立に更なる団結と献身的な努力を傾けよう。

(1999.02.03 民団新聞)



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