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在日のオモニと共に

天王寺夜間中学が30周年



シンポ開催・過去から未来探る

 【大阪】大阪市立天王寺中学校に夜間学級が開設され、今年六月で三十周年を迎える。これを記念して同夜中生徒会(松田晃校長)が一月二十九日、同講堂で「シンポジウム・これからの夜間中学校を考える」を開催した。六月六日には記念式典を行う。

 中学校夜間学級は、義務教育年齢のころ戦争や貧困、病気、家庭の事情などの理由で、やむを得ず小学校や中学校を卒業できなかった人たちが対象。年齢、国籍は関係ない。

 天王寺中学校夜間学級は一九六九年六月五日、大阪初の府教委認可校として開設された。第一回入学生は八十九人で、このほとんどが学齢期に義務教育を受けられなかった在日同胞オモニ。新渡日者の増加とともに、在籍生徒の国籍も今は十五カ国に広がり、年齢、国籍、生活歴を超えた人間交流の場となっている。卒業者は九七年度までに八百八十七人を数えた。

 この日のシンポジウムは、「これからの夜間中学を考える」と題して開催された。在籍生徒三百八十一人(このうち在日同胞百十九人)のほか教職員、支援者らも多数参加した。

 コーディネーターには天理大学の内山一雄教授、パネラーとして田村孝さん(市教執行委員)、稲富進さん(元天王寺中教諭)、豊崎昇さん(天王寺中第一期卒業生)、三浦スミ子さん(現生徒会長)、平尾恵さん(現天理中教諭)の六人が参加した。

 一九七四年から十五年間にわたって教鞭をとったことのある稲富元教諭は「当時はほとんどが在日のオモニたち。オモニを通して私のほうが勉強させられた。私の生き方に影響を与えた民族差別問題は日本社会の問題で、まだ解決されてはいない」と述べた。

 平尾さんは「オモニたちが入学し、文字を知って自信につながり、生きていく楽しみとなって美しく、若くなっていかれる」と保健教諭の目から見たオモニ像を語った。

(1999.02.03 民団新聞)



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