民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
韓日結び、国際理解の架け橋に

横浜コリアン文化研究会の金順玉さん



横浜市能見台南小学校3年生対象の
ワークショップで(98年9月)

■民俗文化で共通認識
小・中18校を巡回し紹介

 【神奈川】韓国の文化を媒介に、日本人と韓国人が共に理解し、共感しあえたら―。金順玉さん(41)=横浜市国際理解教室非常勤講師、横浜コリアン文化研究会代表=のそんなひそかな願いは横浜市内でいま、着実に芽を結びつつある。昨年五月の会発足以来、教職員研修や公演で市内の小・中学校十八校を回った。チャンゴやハングルの会を通じての仲間づくりも広がりをみせている。 金さんが横浜市教育委員会から国際理解教室の非常勤講師に採用されたのは九一年のこと。英語を使った授業で国際性豊かな児童を育てるというのが、市教委の希望だった。

 最初に赴任した中村小では七年間というもの正規の授業と併せ放課後、民族クラブ「オリニ会」の指導にもあたった。このあと、潮田小でも二年間教壇にたち「チャンゴクラブ」発足の素地をつくった。一年更新という不安定な身分で複数年、同一校で教鞭をとり続けるというのは異例だ。現場ばかりか、市教委からも厚い信頼を得ていたことが分る。現在は北方小で二年目を迎えた。


■神奈川韓国総合教育院も助成

 金さんは英語での授業が本来の役割だが、市教委の思惑をよそに授業現場では韓国の民俗、風習の紹介にも力をいれている。周囲の教員仲間も、そんな金さんを陰ながら支援してきた。 昨年の夏前のことだ。北方小でいつもの通り四年生の授業を終えて教室を出ようとした金さんは、在日同胞三世の児童から呼び止められた。

 「あたし、ウリマルを習いたい。教えてくれるところないですか」。金さんはとっさのことで思い当たらなかった。児童の両親と話して熱意が本物と知った金さんは、この少女一人のためだけに「子どもハングル講座」を始めた。横浜信愛塾の呼び掛けもあり、受講生も現在は十人を超えるまでになった。金さんの地道な活動は神奈川韓国総合教育院(金明植院長)の目に止まり、昨年十一月には励ましの助成金が贈られた。

 金さんは結婚を機会に八六年に韓国から来日した。日本での定住が深まるにつれて、お互いのことを理解しあい、真の交流を作り上げるためにも日本社会にコリアン文化や在日同胞の現状について発信する情報センターが必要との思いを募らせていった。このため昨年五月、「横浜コリアン文化研究会」を旗揚げした。

 まず、年令も性別も問わない「横浜チャンゴ連」、さらに女性向けのチャンゴ練習会として「トマンナヨ」、「ハングルで民話を読む会」と次々に開設。こうした趣味も兼ねたサークル活動の一方で、各学校や自治体からの国際理解公演の依頼をこなしている。この間、「横浜コリアン文化研究会」とは姉妹関係を結んでいる「湘南コリアン文化研究会」とも連携しながら小・中学校だけでも十八校を回った。

 プログラムとしては、韓国民話の読み聞かせ、チャンゴ体験に歌や踊り、韓服の着用など。楽しく韓国の文化に触れられるよう工夫している。特に国語の教科書に民話「三年峠」が出てくる小学校三年生のクラスからの依頼が多い。

 金さん自身、二児の母親だけに「日本人と韓国人が韓国の文化を通して共感できる輪を広げたい」との思いは強い。仲間づくりも各練習会・講座の仲間から一人、また一人と育ちつつあるようだ。次の目標は「パンソリを一緒に楽しむ会」の結成だという。「横浜コリアン文化研究会」への連絡は電話045(336)0093まで。

(1999.02.17 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ