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韓日首脳会談の成果



 「韓国側の関心の大きさを十分に理解している。目下、自民党で検討しているが、一歩突っ込んで真剣に検討したい」。

 三月二十日、ソウルでの韓日首脳会談で小渕恵三首相はこのように答えた。これは金大中大統領が在日韓国人の地方参政権問題について、日本政府の対応を聞いたのに対して述べたもので、日本政府内で前向きに協議する考えを示したものとして高く評価したい。

 小渕首相はその後の同行記者との懇談で、「一国の大統領からそういう(在日韓国人の地方参政権付与の)話があったので重く受けとめている。自民党に取り組んでもらえるよう努力する」ことを明らかにしている。

 昨年十月、東京での両国首脳会談では、小渕首相が「幅広く検討していく」と約束してから、約半年が経過した現在、両国間で在日韓国人の地方参政権付与問題が前向きに着実に進展している。

 このことは、この間の本団のたゆみない要望活動が一定の成果を収めているということでもある。


■在韓定住外国人の参政権付与

 また、金大中大統領は小渕首相に、「韓国定住外国人に対して参政権を付与する問題について検討中だ」と述べている。これは、韓国政府が在日韓国人への地方参政権付与を円滑に日本側に求めていくにあたり、相互主義の措置を取ってもよいことを示したものとして注目される。

 これには、相互主義の適用をいう日本側の慎重派に対する配慮と、韓国自体の国際化の問題とがある。


■法律案の実質審議

 ところで、昨年十月に国会に提出された「永住外国人に対する地方自治体の選挙権等の付与に関する法律案」が、去る三月四日、衆議院の政治倫理・公職選挙法改正特別委員会で実質的な審議、検討を始めることで与野党が合意をした。

 これによって、早ければ都道府県・政令都市レベルの統一地方選挙が終わる四月十二日以降か、遅くとも五月の連休明けには国会で本格的な論議が始まることになる。

 このような状況の中、三月議会では、同胞が最も多く居住する大阪府議会が定住外国人に対する地方参政権の付与を国に求める意見書を採択した。民団大阪府本部のこの間の努力と府議会の良識に敬意を表したい。

 この決議によって、都道府県議会レベルの採択率は七〇%を超えた。全国地方議会の決議は現在千三百九十一に上っている。私たちの多くが住む都市部の採択率はすでに七四%をこえている。


■世論調査で65%が容認

 一方、三月五日付読売新聞全国世論調査結果によると、定住外国人に地方自治体選挙権を容認すると答えた有権者が六十五・六%を占めている。大都市部では七十三%が容認している。反対は二四・五%に過ぎない。このことは、日本社会の世論も在日韓国人を始めとする定住外国人を同じ住民として受け入れ、地方自治への参与を積極的に認める方向に来ていることを如実に示している。

 今月初め、野田毅自治大臣は記者会見で「今世紀に起きたことは、今世紀中に解決すべき」だという金大中大統領のメッセージを引用し、立法化に向けて与野党間の協議の進展を促した。、本団では、あらゆる困難を克服して、今年度中の立法化を実現させていきたい。

(1999.03.31 民団新聞)



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