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本国観光振興で韓日交流を



 今年は韓国の観光振興五周年計画が始まる年だ。来る二十一世紀においては、情報通信技術の発展に伴い、文化観光産業は世界的にも競争の激しい成長産業になりつつある。周知の通り韓国では昨年、金大中大統領が直接観光誘致を呼びかけるテレビCMに出演するなど、観光産業を国の主要事業として力を入れている。

 また、文化観光部では「観光ビジョン21」を設定し、今年から五年間、八兆円余りの予算を投入し、各種観光施設を拡充、雇用創出と外貨収益を大幅にあげるという意欲的な計画を発表した。


■人的交流で相互理解を

 これまで観光産業は韓国国内で、消費・享楽産業であるという否定的な認識が多くあったのは否定できない。

 しかし、「百聞は一見にしかず」という言葉があるように、百回聞くよりは一度直接見ることの方が、イメージを具体化させることができる。

 観光振興は世界に韓国のありのままの姿を披露する機会となるばかりか、観光収入が不振にあえぐ経済をテコ入れする一つの好材料となる。ひいては国威発揚にも大きな効果を及ぼすことができると言っても過言ではない。

 また、人との人との交流を通じて相互理解を増進し、国際社会において基本となる信頼関係を築くことにもつながる。


■日本の中高生が韓国に修学旅行

 昨年一年間、韓国を訪問した観光客は四百二十五万人で、そのうち日本人観光客は百九十五万人、そして在外同胞は三十一万人との発表があった(韓国観光公社)。

 九七年度には日本の公立高校の中で海外へ修学旅行に出かけた学校は二百七十校以上で、参加学生は四万八千人であった。そのうち最も多い行く先は韓国で百四十五校、二万七千人の学生が韓国を訪れたという。公立中学校でも福岡、長崎など、九州地方から二十一校が韓国や中国に三泊四日の日程で出かけている。

 このような中高生の韓国への修学旅行は、次世代の韓日親善と友好増進はもちろん、共生・共栄のための理解と協調のパートナーシップを構築する土台になる。


■英王室も韓国を訪問

 去る四月十九日から三泊四日、英国のエリザベス女王が韓国を訪れ、誕生日にあたる二十一日に慶尚北道の安東市を訪問した。国賓を迎えた河回里では、女王にキムチやコチュジャンの作り方を見せたり、伝統料理で女王をお祝いし、食卓には麺、餅など四十七種類の伝統飲食が出された。

 また、訪問記念には、民俗色豊かな河回仮面などの伝統民芸品を贈り、女王を喜ばせた。

 今後の観光産業は文化と観光をミックスした開発が必要である。全国に散在している博物館や歴史のある寺刹などを観光資源化し、新商品の開発をはじめ、観光地の交通便宜を図り外国人観光客のための広報、わかりやすい案内板の設置のほか、宿泊施設、飲食店の衛生管理などが必要不可欠である。そうすれば、外国人観光客が再び韓国の地を訪れることになるだろう。

 民団では今年の活動方針として、日本人観光客の積極誘致を展開し、地方本部や支部、傘下団体による小規模旅行を企画している。韓日友好団体の関係者から青少年にいたるまで、韓日交流の増進のために邁進していく考えだ。

 総連系同胞の母国訪問と合わせ、日々発展している本国の観光誘致に力を注ごう。

(1999.04.28 民団新聞)



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