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次世代が集い学びふれあう場を



 鯉のぼりの泳ぐ風景があちこちで見られる、ゴールデンウィークのまっただ中。今日五月五日は「子どもの日」だ。

 民団では全国四十九地方本部の地方委員会・大会が終了し、いよいよ各地方本部の新年度がスタートした。各地方では一九〇〇年代最後の年であることを念頭に、今年度の活動方針を決めた。重点課題として(1)定住外国人に対する地方参政権の実現(2)韓信協会員信用組合の再編・育成(3)韓日共催の二〇〇二年ワールドカップサッカー(W杯)の三つがあげられた。

 一方、創団以来の課題として謳われ続けている在日同胞次世代への「民族教育運動」も当然のように、組み込まれた。


■親子で学ぶ民族教育の場

 東日本に唯一存在する、民族教育の殿堂、東京韓国学校の土曜日が、親と子がともに集い学ぶ場になっている。

 東京韓国学校では今年も、日本の学校に通う在日同胞オリニ(子ども)たちに毎週土曜日の二時間、韓国語や韓国文化、歴史などを教える「土曜学校」が開講し、首都圏に住む百五十人の子どもたちが入学するという人気ぶりだ。

 九三年からスタートした同校の「土曜学校」は今回で十二期目となり、これまで約七百人の同胞オリニが修了している。

 この人気ぶりには、大きな理由がある。立派な校舎での体系的な民族教育の場であるとともに、本名を呼び合い同胞の仲間とふれあうことを重視したからだ。さらに、「わが子の子育て」という共通認識を持った二・二世の親たちのつながりの場にもなっているからだ。

 在日同胞社会の構成が二世以降の世代が九割以上を占めるようになって久しいが、そのほとんどが母国語である韓国語が話せないのが実状だ。

 同校では、今年から「土曜学校」に通うオリニの父母たちのために、「無料韓国語講座」もスタートした。子どもたちが学んでいる二時間の間、単に待機し無駄に過ごすのではなく、ともに「韓国語」を学び有効な時間にしようというものだ。


■韓国人としてのプライド植える

 毎週土曜日、同じ立場のオリニが一堂に会し、本名を呼び合い、韓国語や文化を学び、ふれあう姿は実にすがすがしく、オリニたちの表情も生き生きとしている。

 全日制の民族学校が全国に四校しかないという現状をふまえ、民団では一九七〇年代に、「民族教育五十時間義務制度」を施行し、支部や本部の会館を活用した韓国語や歴史、文化を学ぶ団員への講座が全国で開かれた時代があった。

 「土曜学校」と「五十時間」の大きな違いは民族教育=「韓国語」という構図を大きく変え、「韓国語教育」を義務づけるのではなく、まず、本名を覚えさせ、同胞がこんなに多くいるんだという仲間意識と韓国人としてのプライドを持たせながら、民族意識を植え付けるという点だ。


■「土曜学校」を全国に広げよう

 東京韓国学校の土曜学校に見習って、ここ数年、民団や教育院でも開講。京都が韓国学校を活用して開催しているほか、大阪、千葉、新潟、群馬、福島、福岡、広島、愛知、岐阜、富山、島根、神奈川など大手から過疎地方まで十六カ所に広がった。

 まもなく二十一世紀を迎えようとしているが、新時代の在日同胞社会の主人公である、次世代たちの学び集い、民族とふれあう場として、「土曜学校」がさらに全国に広がっていくことを期待したい。

(1999.5.05 民団新聞)



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