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韓国の絵本280冊勢揃い

東京の日比谷図書館



日比谷図書館に勢揃いした韓国の絵本

■80年代からコツコツと購入

 日本では専門の書店でしか手に入りにくい韓国絵本が、東京都立日比谷図書館(千代田区日比谷公園)で読める。最近百冊を新たに購入したため全部で二百八十冊に増えた。内容的にはダイナミックで色使いもカラフルなものを厳選しており、韓国語を分からなくても十分に楽しめる。韓国の伝統文化や歴史を再認識するうえで格好の材料といえよう。

 韓国の絵本は館内の児童資料室で所蔵している。最近、新たに百冊を購入したためトータルでは二百八十冊になった。老朽化などでこれまで閉館や取り壊しも論議されてきた日比谷図書館だけに、限られた予算内で外国語の図書を取り寄せようとするところに、同館の意欲が感じられる。

 同館では都立中央図書館とセットで予算を組んでいる。日本語以外の言語で書かれた児童資料・図書については、おとな向け外国語図書の予算から分けてもらいながらコツコツ収集してきた。約五十カ国語一万五千冊をそろえている。


■職員自ら韓国出張し選択

 このうち七、八割は英文の図書。韓国語の児童資料・図書の購入が始まったのは比較的新しく、八〇年代からのこと。日本にある専門の取り次ぎ店を通してだった。しかし、九八年二月に受け入れた今回の百冊については、職員の西田美奈子さんみずからが韓国に出張して選んできた。

 いずれもダイナミックでテンポのあるストーリー展開。カラフルな色ずかいも楽しい。内容は韓国の伝統文化や歴史の再認識、再評価をテーマにしたものが目立つ。西田さんは「韓国の絵本の世界の一部を紹介する程度でしかありませんが、言葉をわからなくても引きこまれる。そういう面白い世界」と多くの人たちの利用を呼び掛けている。


■館内の児童資料室で所蔵

 『むこ探しにきたもぐら』は世界で一番の婿を求めて旅に出るもぐらの話。お日さまや雲や風に関心を向けながら、一匹のもぐらにたどりつく。理想と現実のギャップをちゃめっけのある笑いのなかで見せている。

 『ふねづくり』は時代による船の形や素材の変遷を扱った科学絵本。絵が具体的でリアルなので、説明がなくても、今は失われた韓国の職人芸の優秀さや伝統文化を理解できる。

 このほか、『漫画 韓国の歴史』(全二十四巻)、『フンブとノルブ』、『とらと柿』といったよく知られている作品も多い。

 韓国の絵本事情に詳しい申明浩さん(東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍中)によれば、この十年間で韓国の絵本や児童文化は盛んになり、百社以上の出版社が各社毎月一〜二冊を出しているという。


■貸し出しは12歳までに限定

 韓国の絵本は成人への貸し出しはなく、館内閲覧のみとなっている。ただし、同図書館は他の図書館への貸し出しも行う「図書館のための図書館」業務も行っており、最寄りの図書館でも利用できるので便利だ。十二歳までに限っては同図書館で貸し出しもする。

 児童資料係への問い合わせは電話03(3502)0101まで。

(1999.05.05 民団新聞)



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