■在日の息吹、多様に表現
7月まで5回公演実施
在日同胞の文化芸術活動発展のために活動している在日韓国人文化芸術協会(河正雄会長)は5月29日から7月3日までに「在日韓国人文化芸術の夕べ」を5回にわたって開催する。同夕べは、一昨年「アリランの源流を探して」をテーマに開催し、在日同胞だけでなく日本市民からも好評を博した。今回もアリランの源流を探す続編をはじめ演歌の源流や伝統舞踊、映画、マルセ太郎の一人芝居などを通じて、多様に在日、本国の文化を紹介する。
◆演歌の源流
5月29日・スペースワイ
サブテーマの「韓日歌謡から探る歌の旅」にあるように韓国と日本の歌謡の相似点や相違点を、様々な歌を通じて表現する。「木浦の涙」と「赤城の子守歌」、草束アリランと追分けのメロディが似ている点はなぜか、などを韓日の歌手の歌を聞きながら真相に迫っていく。
韓国側6人、日本側5人他が、かけ歌、抗日歌など韓日の歴史をたどりながら演歌がどのように変遷していったのかを紹介する。
◆アリランの源流をさがして…
6月12日、朝日生命ホール
一昨年開催した文芸協の「アリランの旅人―アリランナグネ」の続編。韓国を象徴するものを尋ねると、アリランとキムチがでるほどアリランは、日本人にもなじみ深い歌として知られている。
韓国各地に散らばるアリランは一説に四、五百もあるという。哀愁を帯びた歌が多いが、珍道アリランのように陽気に歌うアリランもある。韓国の歌手によって、日本ではあまり知られていないアリランを中心に二十数曲が紹介される。
アリランとは何なのか。「アリラン峠を越えていく」と歌われるアリラン峠は韓国には実在しないが、親子の壁であったり、夫婦の壁を象徴的に表現しているのがアリラン峠ではないのかという推量をもとに、様々な手法でアリランの源流を探る。
また、宋富子さんとマルセ太郎さんが、在日同胞としての身世打玲(身の上を演じるパフォーマンス)やアイデンティティの葛藤を演じる1人芝居も見どころとなっている。
◆記録映画『在日』
6月19日、スペースワイ
ドキュメンタリー部門など日本映画界の各賞を受賞した同作品を上映し、在日同胞の現在を考える。
解放前から解放後、日本に定着してきた在日同胞がどのように生きてきたのかを映画を通して知り、今一度在日としての生き方を考える。
◆スクリーンのない映画館『泥の河』
6月26日、スペースワイ
在日同胞の俳優・マルセ太郎さんが自身の在日半世紀を1人芝居として演じる。大阪を舞台に、朝鮮人と日本人の子どもたちの内面を探りながら、マルセさん自身が在日同胞として生きてきた姿をオーバーラップさせながら、在日同胞のアイデンティティについて鋭く切り込んでいく。迫力の二時間になる。
◆1000年の舞
7月3日、スペースワイ
韓日両国で活動する鄭明子韓国舞踊団が舞台を構成する。チャンゴでなくプクを使う珍しい珍道鼓舞をはじめ、詩歌や舞踊に秀でた妓生たちが生活していた部屋「教房」で踊られていた教房サルプリなど、八つの舞踊で構成される。
◆ ◇ ◆
開演はいずれも18時(映画『在日』は13時)、料金は3000円(「アリランの源流をさがして」は4000円、映画『在日』は1500円)、座席はいずれも自由席。問い合わせは文芸協事務局、03(3359)3212へ。スペースワイは、東京・水道橋の在日韓国YMCA地下。
■チケットプレゼント
文芸協のご厚意により各公演のチケットをペアで5人にプレゼントします。希望者は住所、氏名、年齢、電話番号と希望公演をお書きのうえハガキかFAXで民団新聞に。FAX03(5419)7555。〆切は5月20日まで。
(1999.05.12 民団新聞)
|