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自民党、付与に向け具体的検討開始



 自民党は、在日韓国人への地方参政権付与について、具体的な検討を再開した。

 これは5月17日、日韓議員連盟の瓦力幹事長、三塚博日韓親善協会会長、元自治大臣の白川勝彦党団体総局長等が合同で池田行彦政調会長に、在日韓国人の地方参政権付与の早期実現を要請したのに対して、池田政調会長が「党の選挙制度調査会長に具体的な作業を進めるよう指示している。私に任せてほしい」と答え、明らかになったものである。


本団の統一陳情行動の成果

 本団は去る5月11日、今年度前半期全国地方団長・中央傘下団体長会議を召集、あわせて地方参政権の年内立法化を求める全国代表団を構成し、日本政府、国会、各政党及び日韓議連に陳情活動を行った。

 この統一行動は、地方参政権立法化への六十五万同胞の熱意を直接国会に伝える為に行ったもので、テレビ、ラジオ、新聞等のマスコミが一斉にこれを取り上げ、日本社会の世論喚起に大きな成果を上げた。

 この日、野中広務官房長官は夕方の定例記者会見で、「民団からも強い要望がきている。真剣に取り組まなければならない」と前向きな姿勢をあらためて見せた。

 官房長官はそのあとの本団との懇談においても、「いつまでも放置してよい問題ではない」として、自民党内の早期取りまとめを要請していると述べた。

 一方、森喜朗幹事長は本団の陳情団に対し、「日韓首脳会談で再三議題にされている。小渕首相からも党内を早急にまとめるよう指示されている」と述べ、政治決断の時期にきていることを示唆した。

 連立政権を組んでいる自由党も、この間本団との勉強会、大使館高官との懇談等を通じ、党として賛成の意向を固めている。

 小沢一郎党首は近々、小渕首相に会い、在日韓国人への地方参政権付与の早期実現を要請するという。

 この4月、訪韓した小沢党首が金大中大統領と会談した際、大統領が「韓国に定住する外国人の地方参政権を認める考えだ。在日韓国人への地方参政権付与は21世紀の日韓パートナー関係の確立に必要だ」と要請したのに対し、小沢党首は、「リーダーがきちんと決断しないと解決は難しい。大統領は過去の問題を乗り越えようと決断した。今度は日本人自身が決断し、誠意を示すべき時だ」と答えている。

 今なお、国民主権、相互主義、北韓の問題等、一部に根強い慎重論があるが、大きな流れは付与の方向にある。賛同者が約66%を占めている全国世論調査の結果を見ても、与党は時代の要請として「政治決断」すべき時に来ているといえよう。

 現在、衆議院の「政治倫理及び公職選挙法改正特別委員会」に付託されている法案は、与党側が「もう少し勉強したい」という理由で実質審議を先送りしているが、本団としては、戦後一貫して日韓親善に尽くしてきた与党がむしろ率先してこの問題の解決にあたることを切に願っている。


6月議会への対備

 国会での早期立法化要望活動とあわせ、本団では、この6月議会で未採択の県議会及び市議会に集中して採択要望活動を展開する。

 現在、1392議会で定住外国人の地方参政権の確立を政府に求める意見書等が決議されている。これは全国約3300自治体の42・2%にあたる。すでに全国都道府県議会の70%以上が採択しているが、私たちは今議会で100%を達成したい。

 未採択議会においては、地域住民として貢献している私たちの願いを理解し、1日も早く決議をすべき時である。

(1999.05.26 民団新聞)



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