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次へのステップ



 公務員採用の国籍要件を撤廃した「川崎方式」が発表されてから3年が経過した。「川崎方式」は政令指定都市としては初めて定住外国人に一般職の門戸を開放したもの。「同じ市民として市政に参加を」と外国籍住民に手を差しのべたあたり、さすが川崎市だと評価したものだ。

 しかし、高知県が「門戸を開いたのは一歩前進。だが、国の見解を前提としている以上、納得できない」と批判的だったように、任用の制限を設け、一部の職種には外国人が就けないとした「川崎方式」は、当初から問題点を抱えての出発だった。

 川崎市の「外国籍職員運用規定」によれば、行政事務では市税等の賦課、滞納処分、生活保護決定、社会福祉の分野では法定伝染病の予防、化学で産業廃棄物等の監視・規制、薬剤師は食品衛生管理など182の職種について外国人にまかせられないのだという。

 「当然の法理の範囲は自治体が判断すべき」との従来からの自治省の見解からして、これらは川崎市自ら自治省の意向に配慮したものだろう。しかし、外国人がなぜ公権力を行使してはいけないのか。高知県が自治省に反論したのに対し、自治省は具体例をあげて反論できなかったという。

 果たして川崎市は、これら百八十二の職種について外国籍住民を排除するだけの説得力ある答えを出せるのだろうか。「当然の法理」とはもともと法律がないからつくられたにすぎない。基本的には「在日いじめ」であり、定住外国人から政治に関わる権限を奪うものだ。

 「最低ライン」とはいえ、全国に先駆けて一歩を踏み出した川崎市だからこそ、次のステップへの期待も大きくなる。もうその期待に応えてくれてもいいころだ。(K)

(1999.06.09 民団新聞)



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