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甲子園めざし京都韓学・野球部が猛練習



選手にバッティング指導をする
金健博監督

■「太極旗持って甲子園へ」

 【京都】高野連加盟を果した京都韓国学園(京都市東山区、王清一理事長)の硬式野球部が練習に汗を流している。急ごしらえのチームながら在日三世の金健博監督の指導のもと「長足の進歩」を見せており、まずは地区大会での一勝を目指す。一方、硬式野球部の発足に奔走してきた理事会では、5年後の甲子園出場の夢を現実のものにしようと、全国各地を視野に優秀な同胞生徒の入学を呼び掛けている。

 練習はいまスローイングから始めるなど、まだ基礎訓練の段階。自らグラウンドに下りノックバットも握る金安一副理事長は「ピッチャーはいい。打つのはそこそこ」と目を細めている。

 問題は守備。5月30日、大阪の高校を相手にして初の練習試合を行った際も失点の多くはエラーがらみだったという。それでもチームの練習ぶりをつぶさに見てきた李虎雄校長の目には「長足の進歩」と映ったようだ。金副理事長は、守備の弱点さえ克服すれば「地区大会1年目で1勝のチャンスがないことはない」と皮算用している。


■近く後援会も発足

 一方、金幹夫常任理事の夢は5年計画で甲子園に出場すること。ただし、現有メンバーでは限界があるだけに、全国から優秀な選手を集めるという。幸い京都韓国学園の高野連加盟の知らせに、全国レベルで野球部に対する関心が盛り上がっているところ。金常任理事は「建前で民族教育といったって誰もついてこない。発想を転換して、太極旗を持って甲子園に行こうと呼び掛けることも大事」と話している。

 来春以降、有望な選手をたくさん迎え入れるには寄宿舎が不可欠。合宿所も作らなければならない。バッティングセンターも必要。理事会では6月中を目標に後援会を発足させ、財政面でバックアップしていきたい考えだ。すでに京都韓学PTA役員経験者で構成する「花牛会」(趙首完会長)では、全国の選手志望者に下宿の提供を申し出ている。

 第81回全国高校野球選手権京都大会(7月15日開幕、西京極球場)の組み合わせ抽選は26日に行われる。エースで1年の申善樹君は「まず一勝。直球で勝負したい」と意気込む。


■生徒増へ明るい材料

 京都韓国学園は1947年の創立。中学校と高等学校を持つ。最盛期には百五十〜160人を数えた生徒も現在は中等科46人、高等科32人の計78人と半分にしか過ぎない。

 特に高等科については中等科から進学する生徒が減り続け、存亡の危機に立たされていた。理事会の中からは高等科の役割はすでに終わったとの声も出るほどだった。理事会では窮余の策として特別進学コースとパソコンコースを設置、常勤理事が中等科を卒業する生徒の家庭を回り高等科への進学に向けて説得工作を繰り広げてきた。

 幸い今年、中等科を卒業した22人のうち半分の11人がそのまま進学したことで辛うじて高等科が維持された。硬式野球部の高野連加盟が承認されたのも明るい材料。沈みかけた京都韓国学校が活性化していくうえで、今年は大きな転機となりそうだ。

(1999.06.09 民団新聞)



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