民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
韓国をもっと深く知る

ビデオ&ブック「韓国発見」発売



河回仮面劇

■ベネッセコーポレーションが発売

 旅行やグルメをはじめ文化まで含めて韓国を紹介するガイドブックは数多く発刊されている。このほどビデオとテキストブックがセットになった新企画の韓国紹介アイテムがベネッセコーポレーションから発刊された。タイトルは『韓国発見』。特に韓日の比較民俗学に造詣が深い常葉学園大学の金両基教授が監修を受け持つなど、これまでの韓国紹介本から一歩踏み込んだ韓国を理解するものとなっている。韓国人の「情」をキーワードにアリラン、パンソリ、仮面劇などから韓国の魅力を紹介する。



■韓国人の精神世界に踏み込む

 ビデオ&ブック『見聞塾』はベネッセが企画した新シリーズ。本の挿し絵や写真だけでは物足りない、映像だけでは深い知識が得られない、といった欲求不満にこたえたもの。ビジュアルと活字をうまく活用した。『仏像通』『陶芸家の世界へ』『ファラオがおしえてくれたこと』などこれまでに十五タイトルが発刊されている。

 韓国人のバイタリティーの原点に関して金教授は前書きで「シャーマニズムには『情』が漂い、『情』をキーワードにして喜怒哀楽が絡み合う」と語る。韓国の歴史や現在だけを見るのではなく、今を作った人々の精神世界を知ることによってより根元的な韓国、韓国人像を形作ることができるという。

 ビデオ(約八十分)では、風水の思想や食文化、オンドルなどが深く根付いた庶民の暮らしぶりを紹介する。また日本人とは異なる「情」を求めて仮面劇で有名な河回村を訪ね、ヤンバン(両班)家庭に息づく儒教の思想に迫る。

ヤンバン(両班)の忌祭祀


■在日子弟の祖国理解の教材に最適

 アリランの原点ともいわれる旌善(チョンソン)アリランを無形文化財が歌う。河回仮面劇保存会の面々が宴会の席で皿、匙でリズムを取り、体で喜びを表現するシーンが「情」の一端を表現している。韓国人であれば誰もがにやっと笑みを浮かべるシーンだ。また、めったに見られない両班の忌祭祀(キジェサ)も映像で紹介される。

 パンソリの無形文化財に見いだされた6歳の少年が、師の厳しい指導を受ける部分は、韓国の伝統の深さを感じさせる。全編にわたって金教授のナレーションが入り、映像に深みを与えている。

 一方、テキストブックもビデオ映像を補完しながらより深くそれぞれの分野に踏み込んでいる。写真もふんだんに使われ、韓国を知るための重要な部分をピックアップして紹介する。

 制作に当たっては、長期間のロケハンを行うなど力を入れたという。これまでの韓国紹介とはひと味違い、真摯に韓国と向かい合ったものとなっている。

 日本人を対象にしてはいるが、都市の紹介だけに終わらず韓国人の精神世界にまで踏み込んだ内容だけに在日同胞の2・三世にとっても祖国理解の教材になろう。

 全国の書店で販売。定価三千八百円。問い合わせ・申し込みはフリーダイアル0120―059―922(ベネッセ見聞塾お客様センター)または03(5626)2594(日韓ブレイン)へ。

(1999.06.09 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ