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同じ住民なのになぜ外登番号?

大阪市が児童手当給付で提出要求



■人権に逆行と市民団体が改善要請

 【大阪】児童手当ての支給にあたり、国際化先進都市といわれる自治体が、在日外国人世帯に対して外国人登録番号と通称名の記載を求めていたことがこのほど明らかとなった。日本人には不要な本人確認の手続きを外国人だけに求めていることに対して、在日同胞市民団体では改善を求めている。

 児童手当ては3歳までの子どもを持つ家庭が給付の対象。該当世帯には年1回、自治体から「児童手当・特例給付現況届」が送られてくる。

 今年、第1回目の更新手続きを迎えた金光敏さんの家庭にも大阪市役所からの「現況届」が届いた。金さんは、外国人だけに限って「国籍・外国人登録番号」と「本名・通名」の記載を求めていることに疑問を抱いた。本人確認とはいえ、日本人なら名前と住所の記載だけで済む。まして、通称名の記載は本名を呼び名乗る教育を進めている大阪市の方針とはそぐわない。


■国の指導では削除されているのに

 金さんが大阪府内の主だった自治体を調査したところ八尾市、枚方市、大東市と、いずれも大阪市のような記載事項を求めていなかった。ちなみに大東市児童福祉課では「申請窓口にコンピューター端末があり、外国人でも名前と住所だけで住民票があるかどうかは確認できる」という。

 金さんは「日本人は本人確認を名前と住所だけで行う。外国人登録制度が治安管理の道具として使われてきた歴史を考えれば、人権尊重の流れに逆行している。名前を2つ持っていても原則は本名。教育委員会でも本名を呼び、名乗る教育を進めているところなのに配慮がない」と話す。


■大阪市側も改善を約束

 各自治体に毎年、児童手当関係法令通達集をだして指導している厚生省児童家庭局児童手当課によれば、外国人登録の番号を記載するよう課長名で通知を出したのは81年のこと。その後、国際的な人権意識の高まりとともに現在は削除しているという。

 金さんは「中央官庁よりも日々、住民と接している自治体のほうが現場感覚がある。なのに一切の差別を許さない共生社会づくりを目指している大阪市でも、ちょっと気を許すと行政のふしぶしにこういうことが残っている」のが問題なのだという。

 大阪市には23日、民族教育促進協議会(郭政義代表)と在日韓国民主人権協議会(具圭三協共同代表)、同胞保護者連絡会(李京愛会長)の三団体連盟で是正要望書を提出することにしている。


■大阪市民生局の谷口真一係長の話

「厚生省の通知があった81年当時は、まだ電算化で住民票の管理ができていなかった。事務の効率化を図るために外国人の方には外国人登録の番号を記載して戴いてきた。現在は機械化も進んでおり、要望があれば前向きに検討していきたい」

(1999.06.23 民団新聞)



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