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地域振興券で八尾市

対象外の子らにも交付へ



八尾市側に独自の措置を要請する民団代表ら(左側)

■「構内で新たな差別…」
 民団の要請に独自措置約束

 【大阪】大阪府八尾市では、今年3月から交付された地域振興券の交付対象外となった15歳以下の外国籍住民に対しても独自の救済措置を講じ、交付する準備を進めていることが明らかになった。民団大阪本部が「同じ地域に住みながらも学校や地域内で新たな差別が生じている。差別解消のための措置を行うべきだ」との指摘にこたえたもので、市側では、対象者数把握など事務的作業を急ぎ市議会と予算措置を協議すると約束した。また、池田市や和泉市などでも民団の要請にこたえ、同様の措置を検討中だ。

 民団大阪府本部(洪性仁団長)と同八尾支部(朴載吉支団長)の代表は6月24日、八尾市役所に柴谷光謹市長を訪れ、地域振興券の対象外となった在日同胞など外国籍住民にも独自の措置を講じてほしいとの要望を行った。

 席上、民団側は地域振興券外国籍住民の対象が、世帯主が「特別永住者」または「永住者」に限られたことによって、学校や地域内で新たな差別が生じていることを指摘し、「差別解消のための措置を行うべきだ」と求めた。

 これに対し、柴谷市長は「対象者数などの実数を把握するなど事務的作業を急ぎ、予算措置を市議会と協議する」と約束し、現在、対象外となっている在日外国人の子どもに地域振興券配布を準備していることを明らかにした。

 また、市長は「地域振興券に期間的な制限もあり、別の方策も考慮に入れ実施の方向で早急に検討したい」と付け加え、現在交付した振興券の期限(9月22日)にとらわれず、期限を延長した振興券の交付を明らかにした。

 3月から全国で配布された地域振興券は15歳以下の外国人の場合、世帯主が「特別永住者」または「永住者」が対象となっていた。

 このため15歳以下の子ども自身が「永住者」であっても、世帯主が非永住者の場合、交付されないという事態となった。

 逆に子ども自身が非永住者であっても世帯主が永住者の場合は交付されるという、矛盾が生じた。

 民団大阪では、これらの問題点について、当初から指摘し、基準日(99年1月1日)までに、国籍、在留資格を問わずすべての15歳以下の子どもたちを交付対象にするよう要望していた。

 同問題は奈良市が、自治省要綱にとらわれずに、対象外となった子どもに7月1日実施を打ち出しているが、八尾市が独自の措置を執れば、在日同胞数が最も多く住む大阪市内では初めてのケースとなり、全国にも広がりを見せそうだ。

(1999.07.07 民団新聞)



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