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同胞父母が臨時講師に

建国高校でユニークな授業



金・民団大阪国際部長の授業を聞く生徒たち

■韓国料理、伝統礼法、在日史
 一般公募で8人登壇

 【大阪】地域で活躍する在日同胞父母を臨時の講師にしたユニークな授業が、白頭学院・建国高校で12日から始まった。生活者の目で豊富な知識と体験を直接、生徒に伝えてもらおうというのが学校側の狙い。ともすると知識偏重に傾きがちなこれまでの授業とはひと味違って、生徒にも好評だった。

 今回の授業は、建国高校が今年度4月から開設した「韓国文化特別コース」の一環。12日からの1週間は「サマーセミナー」の名称で毎日、一校時から3校時までユニークなプログラムが続く。

 内容は韓国料理から韓国の伝統折り紙、伝統礼法、「わがルーツ」など様々。教壇に立つのも卒業生や保護者、そのほか一般公募で集めたボランテイア8人が中心となっている。生徒のほうも学期末考査を終えたばかり。夏休みも目の前とあってくつろいだ雰囲気で授業を楽しんでいた。

 初日の1時間目、教壇に立ったのは第18期卒業生で現在、民団大阪府本部の国際部長を務める金ヒョンスさん。金さんは「在日韓国人の法的地位―生活権拡充(権益)運動史」について約50分間にわたって講義した。

 生徒は1980年代に生まれた3、4世世代。解放直後からの民族運動史の流れをたどりつつ、在日同胞社会が当面課題としているテーマにまで踏み込んだ内容は、生徒には難しく、消化不良気味だったようだ。

 それでも生徒の1人は、「指紋を押さなければいけなかったことは知っていたけれど、それをしなくてもよくなったのにもいろいろ理由があることを知りました」と話していた。また、別な生徒は、「私が生まれるもっと前に、現在とは違う暮らしかたをしていたんだな」と複雑な表情を浮かべていた。

 二校時は同校3年生の保護者、尹賢子さんが自分の目で見た「現代韓国事情」について語った。話は韓服の変遷にまで及び、ビデオも利用した。最後は尹さん手作りのチヂミを囲んでなごやかに談笑した。張成秋校長は「初めての取り組みです。改善するところもあるが、今回の授業を参考にします」と話す。

 「韓国文化特別コース」は韓国語の授業やホームルームもすべて韓国語。少人数制をとっており現在、高校1年生6人、同2年生9人が「日本にいながらにして、まるでソウルの高校にいる気分」で学んでいる。

(1999.07.14 民団新聞)



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