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外国人学校として日本高野連に加盟した京都韓国学校

甲子園の京都大会で初の公式戦に出場



外国人学校として初出場し、
元気に試合前のあいさつに向かう
京都韓学ナイン

 【京都】今年五月に外国人学校として初めて日本高校野球連盟に加盟した京都韓国学園(王清一理事長)は十六日、舞鶴球場で行われた第八十一回全国高校野球選手権大会の京都大会1回戦で、昨夏の甲子園大会準優勝の京都成章と対戦した。相手は強豪とあって0―34(五回コールドゲーム)で敗れた。

 しかし、全力を尽くした選手たちは「ヒットも出たし、アウトもとれた」と晴れやかな表情。金健博監督やナインらは「本当の挑戦はこれから。練習を重ね、競い合えるチームづくりを」と早くも秋季大会に向け意気込みを見せていた。

 スタンドにはバス三台で乗り込んだ在校生や後援会の同胞ら二百余人が熱い声援を送り、歴史的な初試合の感動を味わった。


大敗にも晴れやかナイン
秋には「競い合える試合を」

 三塁側スタンドには中等部も含めた全校生徒と父母や後援会の同胞ら合わせて二百余人が応援に駆け付けた。李虎雄校長や関係者は、「きょうは子どもたちが初めて歩む第一歩。歴史的な試合をみんなとともに観戦したい」と緊張した表情で話していた。

 同校生徒たちは「ヒムネラ」(頑張れ)と書かれた手作りのうちわを手に熱心な応援。エースの申善樹投手がストライクを取るたびに大きな拍手と歓声を響かせ、選手たちを励ました。

 試合は1回裏、申投手が成章打線に捕まり、3連続三塁打などでいきなり7失点。2回には3本塁打を含む14安打で大挙17点を奪われた。3回にも3点、四回には7点を加点され合わせて34点を奪われた。緊張も重なり、守備では9失策を重ね、打線も内野ゴロか三振がほとんど。

 それでも三回、千誉士選手が強烈な打球で相手のエラーを誘って初出塁すると、観客席から大歓声が起きた。つづいて金寿幸君(1年)がチーム唯一の左前安打で1死一、二塁と攻め、応援席の同胞から、割れんばかりの拍手と歓声が起こった。

 0―34の大敗という「はじめの一歩」にも京都韓学の選手たちに涙はなかった。むしろ晴れ晴れとした表情だった。

 大きな声と明るさでチームを引っ張ってきた金存生主将は「精一杯やった結果で悔いはない。試合は楽しかった」と満足した様子。

 試合を終えた選手たちはすがすがしい顔つきでスタンド前に戻り「ありがとうございました」と元気に頭を下げると応援団も「みんな一生懸命ようやった」と、惜しみない声援を送っていた。

ガンバレとハングルで書かれた
ウチワを持って応援する京都韓学生徒たち


初の挑戦で大きな成長

 初戦の相手は、昨夏の甲子園準優勝の京都成章。初回から京都韓国学園の選手たちを、強力打線が襲った。25安打、11盗塁。34点を取られ、5回コールド負け。しかし、初めての挑戦は選手たちを大きく成長させていた。

 同校の硬式野球部は今年四月に部員二人だけで創部した。一カ月後には部員が十四人に増えたが、中学校での野球経験者はわずか一人。

 六月には監督同士の師弟関係が縁で、大阪の強豪、大商大堺との練習試合が組まれたが、0―58(3回コールド)で大敗した。

 しかし大商大堺戦で二十一個の四死球を出した申善樹投手は、この試合では四個に抑えた。打撃でも金寿幸選手が3回表に同校野球部として歴史的な初安打を放つなど、大きな成長ぶりを見せた。

 金健博監督は「三カ月間の成長を考えると、満点の出来。これまでボールが前に飛ばなかったけど、今日はヒットもあったし選手たちも楽しそうだった」と表情も明るめで、「守りの基礎から練習を始め、鍛え直し、秋には競った試合をしたい」と早くも意気込みを見せていた。

(1999.7.21 民団新聞)



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