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映画「『在日』50年史」の続編

「100年史」制作へ
呉徳洙監督、2005年の完成目指す



 映画『在日』で在日同胞の解放後五十年史を描いた呉徳洙監督(57)が、解放前にまでさかのぼって新たに「在日の百年史物語」(仮称)を続編として映画化することに意欲を燃やしている。年末から来年初頭にかけて準備にとりかかり、二〇〇五年には完成にこぎつけたい意向だ。

 仮称『在日百年物語』は、日本がソウルに統監府を置き、韓国を実質的に支配下に置いた一九〇五年を起点としている。記録映画『戦後在日五十年史』同様、百年に及ぶ在日同胞の生き様を描くことで透けて見えてくる日本という国の有り様を鋭く問うものだ。

 内容としては、これまでのドキュメント性を生かしつつも、「人間」を全面に押し出す。呉監督は「歴史教育的なものにはしたくない。役者を入れ、ちょっとしたドラマを入れていく方法もあり得る」と話している。全体を二十年単位で区切った五部作構成になる模様だ。

 呉監督は「観客から『戦前を見たい』というリクエストがあったのは事実だ。だからといって戦前の三十余年間だけを描くのではなく、なんで日本が韓半島にちょっかいを出したのか。さらにその所産としての在日がいる。この歴史の流れはなんなのか。映像でひもといてみたい」と話している。


記録映画「在日」、観客動員5万人
年内にビデオ化も

 映画『在日〜戦後在日五〇年史』(戦後五〇年史製作委員会)は九七年十一月に東京・ヤマハホールで一般上映を開始、青商などの民族団体と草の根の市民運動に支えられながら各地で着実に観客動員を重ねてきた。製作委員会の集計によれば現在、概算で五万人が映画を見たという。

 この間、金沢大学在学中の在日三世が自ら担い手となり、地元での自主上映を成功させたという例もあった。この学生は昨年夏、神戸の実家に帰省した折り、二世のオモニから映画のビラを手渡され興味を抱く。金沢に戻ると青年会や留学生仲間に呼びかけ、準備を重ねながら今年の六月六日、県教育会館で二回の上映会を成功させた。

 会場に足を運んだ呉監督も「市民運動でなく、ごく普通の人たちが担っている」ことに感激したという。

 同実行委員会ではこの日の収益金四十万円をもとに来年二月十一日、アンコール上映を予定している。

 呉監督は上映運動を振り返り「この映画を通じて戦後の『在日』に対する負のイメージが少しは除去できたのではないか。なるほどこういう歴史があったんだなと分かってくれたなら、苦労したかいがあるというものだ」と述べた。

 製作委員会では年内に予定されている二十カ所での上映会をこなし、懸案のビデオ化に着手していく。上下二巻構成で、これまで会場に足を運べなかった同胞お年寄りでも茶の間で気軽に見てもらえるようにしたいという。

(1999.7.21 民団新聞)



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