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地方参政権が国会審議

立法化へ大きな拍車



地方参政権法案が国会審議入りしたことは
早期立法化への大きな一歩になる
(写真は光復節式典で地方参政権実現の声を
シュプレヒコールする同胞)

 本団が強く求めている永住韓国人への地方参政権付与の早期立法化に向けて、ようやく国会での審議が始まった。

 11日、自民、自由、公明の三党が調整した結果、3月の与野党合意以降、審議入りを見送っていた、「永住外国人に対する地方参政権付与方案」を衆院比例定数削減方案と併行して、衆院政治倫理・公職選挙法改正特別委員会で実質審議することで合意した。

 同日夜、特別委員会が召集され、「地方参政権付与方案」の提案理由説明に入り、翌日は政党質疑が行われた。同法案は13日に採決にかけられ、継続審議が決定した。

 これによって、秋の臨時国会で本格的な審議に入ることが予想され、成り行きが注目される。


■秋の臨時国会で継続審議
  年内立法化へ拍車

 民団が全組織を挙げて展開している永住韓国人への地方参政権付与の早期立法化に向けて、延長国会で実質審議が始まった。

 延長国会閉会3日前の11日、自民、自由、公明の三党が調整を進め、「永住外国人に対する地方参政権付与方案」を衆院政治倫理・公職選挙法改正特別委員会で実質審議することで合意したことから、特別委員会は同日夜、「地方参政権付与方案」の提案理由説明を開いた。

 この席で公明党の冬柴鐵三幹事長は、「成熟した民主主義国家として、地域において、特段に密接な関係を持つに至ったと認められる『外国人たる住民』の意思がその決定に反映されるべきである」としながら、付与の意義を強調。さらに冬柴氏は、「民団の地道な運動」を評価し、「限りなく日本国民に近い扱いがされるべきだ」と述べた。

 この間積極的に推進してきた公明党の草川昭三国対委員長は、「歴史的意義があり高く評価できる」と述べている。

 審議は12日も継続され、各党からこれまで審議入りできなかった(1)選挙権は国民固有の権利(2)相互主義(3)安全保障の問題――などの慎重論について質疑が行わた。

 冬柴氏は「国民固有の権利」について、国政と地方自治体レベルを区分し、「永住外国人に選挙権を与えることは憲法上禁止していない」とした最高裁判決を紹介し、問題ないとした。「相互主義」についても、「適用の基礎がちがう。朝鮮半島に在日韓国人に相当する日本人が何人いるだろうか」とし、「歴史的経緯を持った在日韓国人に相互主義を適用することは無理がある」と述べた。

 「安全保障」については、民主党政調会長の中野寛成氏が、「国権に関するものではなく、住民としての資格を与えるものであり、安全保障に直結するものではない」と答えた。

 同法案は13日の委員会で採決にかけられ、継続審議が決定した。これによって、秋の臨時国会での審議の成り行きが注目され、法案提出政党ではすでに参考人意見陳述の準備を進めている。

 継続審議となったものの、法案の国会審議は今延長国会では見送られると見られていただけに、運動の母体である民団や在日同胞らにとっては大きな勇気を与えた。

 民団中央本部の徐ウォンチョル国際局長は、「本団の粘り強い運動が実りつつある。政局の動向次第によっては早期立法化に拍車がかかる」と述べている。

(1999.08.18 民団新聞)



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