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改定外登法が成立

常時携帯制度は維持のまま



 外国人登録法と出入国管理及び難民認定法の両改定法案が13日、日本の衆議院本会議で可決、成立した。外登法審議では、指紋押なつ制度を全廃し、特別永住者に限り登録証の不携帯が罰金から過料に軽減された。しかし、全般に小手先の修正に留まった。また、入管法でも再入国許可制度がそのまま維持されており、外国人を「管理」の対象にするという法目的の根幹は揺らいでいない。来年4月から施行される予定。

 両改定法案は13日午後衆院本会議で採決され、一部修正のうえ賛成多数で可決、成立した。

 なお、この日午前の衆院法務委員会では民主、共産、社民三党が委員会運営に反発して欠席、自民、自由、公明三党の賛成多数で可決した。


■不携帯は「過料」に

 外登法の定める罰則は多岐にわたる。登録証の提示拒否、署名の拒否・妨害など12項目で、違反した場合、「1年以下の懲役もしくは禁固または20万円以下の罰金」。また、登録証の不携帯、旧登録証の不返納など4項目で「20万円以下の罰金」と定められている。このうち、特別永住者の不携帯については「罰金」から「過料」に、軽減された。このほかの多くの刑事罰は手つかずなままになっている。


■世界に例ない「管理」

 登録証常時携帯制度や再入国制度について、日本法務省は日本以外の四十四カ国で同様の制度を採用していると主張してきた。しかし、市民団体「外登法改定案に異議あり!緊急行動」の調査によれば、その国で生まれ育った旧植民地出身の4・5世にまで常時携帯を強制し、「再入国の権利」すら認めていないのは日本以外にはなかった。法務省もこの事実に具体的に反駁する資料を提示できていない。


■定住実態にそぐわず

 日本政府は92年の国会付帯決議で「外国人登録制度の目的を明確にし、外国人の人権を尊重して諸制度の在り方について検討」、「その結果に基づいて5年後、適切な措置を講じる」と明記した。今回の改定は付帯決議の精神とは相容れないもの。国連の規約人権委員会からの2回(93年、98年)にわたる勧告も無視した形となった。

 そもそも、代を継いで4世、5世の代になっているのにもかかわらず、在日同胞を相変わらず「管理」の対象としてしか見ないのは、その定住実態からしてそぐわない。

(1999.08.18 民団新聞)



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