民団新聞 MINDAN
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「裸の王様」と「太陽政策」



 北の地に君臨している「裸の王様」は人を人とも思わず、反対する者を容赦なく弾圧する。恐怖政治が横行すれば、取り巻きは茶坊主と化し、人々は貝のように押し黙ってじっと嵐が通り過ぎるのを待つばかり。

 「無理が通れば道理が引っ込む」の世界だ。

 その王様は自国内での暴君ぶりだけでは飽きたらず、核やミサイルで世界を脅し、その引き替えに援助を引き出そうと躍起になっている。まさにヤクザ外交の極みというほかない。

 南の地では、癇癪持ちのその王様が暴発しないようにと心血を注ぐ。IMF体制下にありながらも、人々が額に汗して得た労働の対価の一部を北に提供する。冷たい風当たりではなく、暖かい陽の光で包み込もうとする。

 同胞愛の発露というべきだが、同胞ではない周辺諸国の堪忍袋の尾が切れやしないか、「目には目を」とばかりに、好戦的な連中が台頭しないか、ハラハラドキドキの毎日だ。こんな思いをもう何年も引きずってきたような気がする。

 さらに言えば、在日同胞は本国の動向に一喜一憂し、暗いニュースのたびに身を縮めることが少なくなかった。テポドンが日本上空を通過してからもうすぐ1年になる。2号が発射されるのではないかとの危機感に乗じて、北バッシングが一層激しくなるだろう。日本海沖の不審船も記憶に新しい。

 しかし、混同してはならないのは、糾弾すべきは北の為政者であって、人民ではないということだ。北と南。一方は力を誇示し、一方は愛を差し伸べようとする。柔よく剛を制し、短気は損気のねばり腰で「裸の王様」に国際世論が引導を渡すしか同胞に安らぎはない。(C)

(1999.08.25 民団新聞)



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