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同胞の老人ホーム「故郷の家」

神戸の長田にも建設へ



 【兵庫】在日外国人と日本人のお年寄りのための多国籍特別養護老人ホーム「故郷の家・神戸」(社会福祉法人「心の家族」、尹基理事長)が今秋、長田区で着工する。総事業費のうち半額は国庫補助金で賄う。ただし、肝心の一般募金の反応がいまひとつ芳しくない。「心の家族」ではあの手この手で一般からの善意の申し入れを呼びかけている。

 「故郷の家・神戸」は韓国、日本、中国など各国の住民が肩を寄せあって暮らしている長田区という土地柄を反映、国や民族の枠を超えた多国籍老人ホームとなる。懐かしい韓国の故郷の雰囲気をそのまま再現しようと、調度品まで韓国から持ち込んだ堺市の韓国人専用老人ホームとは違い、「共生社会」を前面に押し出す。

 居室スペースは50床。2、3階部分を分け、一方をオンドル部屋、もう一方を和室にするということも考えられている。土地は長田区東尻池に690坪を購入、11月に着工、来年夏頃の完成を目指す。

 建設費、土地取得費などで約13億円かかるが、このうち七億円が国と市からの補助金。6月に神戸市から内示を得た。法人負担金の約6億円は募金に頼る。97年4月からから一般に呼びかけているが、不況のあおりを受けていまのところ1,100万円余りと低調。

 「在日韓国老人ホームを作る会」では、木浦で孤児院を営み戦前・戦後を通じて3000人を育て上げた尹基さんの母親、尹鶴子さんの生涯を描いた日韓合作映画「愛の黙示録」(金洙容監督)を上映しながら、一口1万円で3億円分を集める「3万人運動」を展開中。また、建設委員長の重責を担う金基周さん(民団大阪府本部監察委員長)のほうでも一部屋1,000万円を寄付してくれる大口スポンサーのなり手を探している。

 「故郷の家・神戸」は、長田区在住の在日同胞ハルモニの「動けんようになっても、キムチを食べて、安心して暮らせる終(つい)の住み家が神戸にもほしい」との申し入れがきっかけとなった。堺の次は東京に「在日」と日本人の共生施設をと考えていた尹理事長も熱意に動かされた。

 尹さんは「堺の『故郷の家』も7,000人以上から五億円の募金を集め、5年がかりで開設にこぎつけた。震災を経験した神戸なのできっと理解を得られるはず」と期待している。問い合わせは「在日韓国老人ホームを作る会」。問い合わせ電話は0722(71)0884まで。

(1999.08.25 民団新聞)



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