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見据えよう同胞社会の将来



 21世紀を目前に同胞社会は今、混沌とした時代を迎えようとしています。すでに同胞人口の半数近くを占めるに至った3世以降の世代はいったい何を目指し、またどのような方向に進んでいこうとしているのでしょうか。

 今後の同胞社会を考えていく上で、大変重要なことであり、民団に関わっている幹部・指導層はこの点を提示していくべき時を迎えているのではないでしょうか。


■3世以下が約半数

 祖国解放から半世紀が過ぎ、同胞社会では1世世代が人口の七、八%にまで比率を下げ、2世と3世以降の世代がそれぞれ約半数ずつを占めるに至っています。

 日本への帰化者が年間1万人に達する一方、以前1万人いた韓国籍出生者は、年々減少し続け今や年間3000人程度にまで落ち込んでいます。これに死亡者を加えると、在日同胞人口は年間で約1万人ずつ減っているのが現状です。残念なことではありますが、この傾向は今後とも続くと思わねばならないでしょう。

 本国志向の1世世代は、東西冷戦構造を背景にした深刻な南北対立の影響もあって、70年代中盤まで総連との間で熾烈な路線闘争を繰り返してきました。

 日本で生まれ育ち主に日本の学校教育を受けた2世世代は、日本での定住を前提に自らの権益を守り法的地位を確立する闘いを70年代以降、今日に至るまで推し進めてきました。地方参政権の獲得は、その「最終点」の意味あいを持つのです。

 1世、2世が中心の時代には、イデオロギーであれ権益擁護であれ、明確な運動方針が提示され、これを進めていくことで同胞社会の利益になるとの絶対的な確信があったと言えます。

 3世以降の世代は今、そうした確信が持てないでいるのではないでしょうか。3世になると日本での定住は当然のこととして受け止め、その上に何を求めていくのかが課題となっているのです。

 民団の幹部・指導層は、同胞社会の将来に責任を持つべき立場にあります。日常の組織活動を通じて同胞の意識変化、日本社会への要求、民団組織への要望などをもっとも身近に感じているはずです。


■幹部が展望の提示を

 その彼らが同胞社会の将来に大きな関心を払い展望を切り開いていくなら、3世以降の世代もこの日本社会で堂々と胸を張って生きていくでしょう。

 幹部は今一度、自問してみるべきです。民団自体が今後も引き続き在日同胞の要求に応えていけるだけのものを果たして提示してるのかどうかを。

 生涯学習的な社会教育や経済面での互助活動のシステム、成人式や敬老会といった活動など、民団は同胞が必要とする事柄を十分にカバーしきれているのかが今後、より問われることになります。

 ずいぶん前から言われてきたことではあるが、青商連合会が2年前に行った意識調査によっても、若年層の組織離れ、同胞社会離れは明らかになっています。

 このような3世以降の世代を同胞社会につなぎ止め、これまで以上の発展を期するために幹部・指導層が何をなすべきかが、今問われているのです。

 新しい世代が翼を精一杯広げて飛び出せるよう、その方向性と展望に確たる指針を見出すべき時に来ています。

 10月に入ると臨時中央委員会と地方団長会議が開かれますが、将来の同胞社会のあり方を見据えた論議が期待されます。

(1999.09.29 民団新聞)



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