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無年金同胞を草の根支援

日本人主婦がボランティア



■身の回りを世話、生活費の補助も

 在日同胞の無年金高齢者を善意の輪で支えていこうと日本人主婦が民間ボランティア団体を旗揚げ、近隣の埼玉、東京の居住者から電話による聞き取り調査を始めた。調査結果を基に、今後どのような支援が必要かを考える基礎資料としていく。当面は身の回りの世話、訪問しての話し相手といった精神的なケアを考えている。

 この民間ボランティア団体は埼玉県在住の主婦、水尻福子さん(39)が呼びかけ人となり、9月15日に発足したばかり。名称は「在日同胞ハラボジ・ハルモニを支援する会」として10月から月1回程度の割合でセミナーを開催、賛同者を広げていきたい考えだ。現在、会員は10人ほど。


■日本人主婦が呼びかけ

 水尻さんの熱意に打たれスタッフとして加わったという在日同胞三世の主婦、金明子さんは「日本の人が前面に立って、在日の恨を解いてくれる。在日としても何とかしなければならないと思った」という。

 水尻さんは川口市で文命律さんと偶然に出会い、在日同胞一世の苦難史の一端を知らされる。当時、文さんは夫人に先立たれ、老朽化した木造アパートの一室で孤独をかこっていた。問わず語りに語る文さんの半生に魂を揺さぶられた水尻さんは、「何かしてあげたい」との気持ちを押さえられなかった。

 せめて話し相手になってあげられたらと、水尻さんは3年間余りというもの、折りを見ては文さん宅を訪ね、家族同様のつきあいを重ねていった。在日同胞が制度的に無年金状態に置かれてきたことも、文さん自身から初めて知らされた。


■一人暮らしの同胞老人に勇気を

 文さんは1996年11月、不遇なうちに亡くなる。文さん同様、経済的に恵まれず、孤独をかこつ在日同胞一世の存在が、重石のようになって水尻さんをとらえて離さなくなった。電話帳をめくり、近隣の在住者に韓国人らしき名前を捜し出しては、どんな支援を必要としているかを聞いていった。そうするうちに水尻さんの支援者が増え、正式に支援の会発足へとつながった。

 「支援する会」では毎月1000円を支援してくれる「エンジェル会員」を募集している。将来的には5000人を集め、無年金同胞への物質的・経済的支援を進めていくための基金にしていきたい考えだ。また、企業にはバザーに使える在庫品の供出と募金箱の設置を呼びかけている。

 水尻さんは「将来的には関東近県に老人ホームを建てるのが夢。息の長い社会運動にしていくことで、在日同胞無年金者問題の政治的解決を訴えていきたい」と話している。7日に予定している第2回セミナーには民団神奈川・南武支部の徐泰源団長を講師に招く。

 「支援する会」は電話03(3358)6281。カンパは郵便振替口座00160―4―135871在日同胞ハラボジ・ハルモニを支援する会まで。

(1999.10.06 民団新聞)



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