民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
本物の「キムチ」って何だ!

定義求めてシンポ開催へ



■自然発酵か?添加物使用か?

 本当のキムチって何?―国際食品規格委員会(CODEX)のキムチ規格制定の過程で、伝統的な発酵キムチか添加物で味を調えたキムチか、で揺れ動く中、韓国からの食品輸入にたずさわる在日本韓国食品協議会(金永悦会長)は17日、まずは「キムチの定義」を論議しようとキムチ・シンポを東京・水道橋の在日韓国YMCAで開催する。国際規格委員会でこの間、日本側主張に乗る形で伝統キムチでは使用しない添加物の使用を認められてきたことに対してキムチがキムチでなくなってしまうと危惧するからだ。


■国際規格作りへ提言

 金会長らがシンポを計画したのは、国際食品規格委員会で、日本側の主張に乗るかのように添加物が認められてきたからだ。キムチは本来、乳酸発酵させることによって味に深みを出し、腐敗も防止することができる健康食品だ。

 韓日のキムチ規格の食い違いのそもそもは、96年3月、東京で開かれた国際食品規格委のアジア部会で韓国農林水産部がキムチの国際規格づくりを提案したことから。これに対しキムチ製造が急増しつつある日本でも参加を表明した。韓国側で一方的に規格を決められると、日本で作られているキムチが規格からはじかれてしまうという危機感があったと言われている。


■じっくり発酵が本物

 韓国側は当初からじっくりと時間をかけて発酵させた自然発酵食品としての伝統的なキムチ製造法を求めてきた。しかし日本側はそれに待ったを掛けた。日本で製造される一部キムチが自然発酵させない「浅漬け」キムチだからだ。そのため、本来発酵によって生まれる粘り、旨味、酸味を糊料、クエン酸、グルタミン酸など添加物によって出しても良いという方向で規格が進んでいる。

 このような状況に対して金会長はじめ本格キムチを製造あるいは輸入している在日韓国人らは「これではキムチではない。キムチもどきだ」と反発する。金会長は「日本側が添加物を求めるのは、消費者の立場に立った考えではなく、大量にしかも手軽に作ろうという生産者側の立場から」と批判する。また「日本の製造法でも結構だが、それは『キムチ風味』とか『キムチ味』とか名前を変えるべき。本当のキムチと一緒にしてもらいたくない」という。


■キムチの語源も「低温発酵」

 韓国料理研究家の崔誠恩さんは、白菜を低い温度で自然発酵させた物というキムチの語源自体からもインスタント・キムチに納得できないという。本当に乳酸発酵させたキムチには整腸効果がある乳酸菌が数十億も含まれているが、インスタント・キムチでは数百万しかないとも指摘する。

 国際規格ができて世界にキムチが広がろうとしている中、自然発酵ではないものがキムチとして認定されることを危惧している在日同胞らも多い。シンポではまず、「キムチの定義」を考えたいという。その上で、本当のキムチを広げるために様々な活動を進めていくという。

 シンポは17日午後5時から。参加は無料。キムチに関心ある在日、日本市民に参加を呼びかけている。問い合わせは03(3623)9145のオフィス東京へ。

(1999.10.06 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ