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地方参政権法案の早期成立を要望

民団が新任閣僚や自自公に陳情



野中氏(右)を訪れた辛容祥団長、
李愚京京都本部団長(中央)

■臨時国会をにらむ

 民団中央本部の辛容祥団長ら執行部は19日、小渕内閣の改造に照準を合わせ、地方参政権の1日も早い立法化を求める陳情活動を再スタートさせた。自民、自由、公明の三党間ですでに合意していた「定住外国人地方参政権付与の法案」提出が、11月5日から予定されている臨時国会では見送られるとの一部報道を受け、執行部では地方本部の幹部とともに新任閣僚や自民、公明、民主党等、28日まで四陣に分けて強力に要請していく。


■自治省や総理府、自自公訪問

 19日に始まった陳情活動は、辛団長をはじめ金宰淑、呂健二の両副団長、徐ウォンチョル国際局長が自治省、総理府、自民党本部など四カ所を訪問した。

 辛団長はそれぞれの訪問先で、「在日同胞は地域社会で町内会長や自治会長を務めたり、地域の人たちと長いつきあいをしている。地方参政権が付与されれば、今以上に隔たりなく日本人と共生することができ、地域社会に貢献できる。在日韓国人の問題で残されている大きなものは、地方参政権である」と述べ、「先延ばしせずに、1日も早い実現を」と強調した。

 これに対して自治省の平林鴻三総括次官は、「議員提案で実施すると3党で協議した。門を閉ざしている訳ではない。成り行きを見守ってほしい」と答えた。23日から韓国・済州道で始まる韓日閣僚会議に出席する平林総括次官は、さらに「日韓両国が国交を正常化して30年以上が経過している。地方参政権の問題は、未来志向で21世紀をどうするかという視点で調整を図りたい」と理解を求めた。

 地方参政権の鍵を握るのが自民党。辛団長ら中央執行部は、池田行彦総務会長と面談した。

 韓国の鎮海市と姉妹結縁になった広島県呉市出身の池田総務会長は、広島市の平和公園内に今年移設されたばかりの韓国人原爆犠牲者慰霊碑が、何者かにペンキで汚された事件に遺憾の意を表した。そして、そのような一部の心ない動きがあっても「金大統領や金鍾泌総理の来日を機に、さらなる文化開放などで日韓関係がますます深まるだろう」と展望した。

 この発言を受けて辛団長は、韓日間のパートナーシップを確かなものにするたためには、懸案となっている地方参政権問題の解決を急ぐべきと強調。自民党内の意見調整では総務会長の手腕を大いに期待すると総務会長就任を祝った。

 金副団長も日本人旅行客が史上初めて二百万人を突破すると見られる最近の韓国旅行ブームを例にあげ、「近くて近い韓日関係を築くためにも参政権を」と重ねて要望した。


野中氏(右)を訪れた辛容祥団長、
李愚京京都本部団長(中央)

■地元団長も同行
 地域住民をアピール

 この度の陳情活動では、国会議員の出身地の民団地方本部からも団長らが同行しているのが特徴だ。

 額賀福志郎官房副長官との面談には、民団茨城県本部の李信吉団長、金政雄副団長、金大顕執行委員も同行した。辛団長は「自自公の連立で地方参政権問題が相当進んだ。1900年代の実現を」とたたみかけると、額賀官房副長官は「来年の通常国会までに結論が出るよう全力を尽くす」と語った。

 辛団長は韓日関係に言及しながら「金大中大統領は歴代大統領の中でも一番韓日パートナーシップの強化に腐心している。強固な韓日関係には、まずは在日韓国人の地方参政権が解決されなければならない」と述べ、金宰淑副団長も「地方自治の時代に入った韓国でも、在韓外国人の選挙権問題が次期国会で実現する段取りになっている。日本でも早く実現を」と水を向けた。茨城県本部の李団長らも在日同胞と日本人が共生できるように、選挙制度の改善をと続けた。

 日韓議員連盟の運営委員長を務める額賀官房副長官は、地元の民団幹部を前に「竹下元首相、小渕首相にならい、今後の日韓関係のために努力する」と力強く発言した。

 官房長官時代に自自公連立に尽力した野中広務幹事長代理との面談で、民団京都府本部の李愚京団長は、「自民党には執権政党としての重みがある。政治改革で地方参政権付与を急ぐ時期」と訴えた。野中幹事長代理は「過去にとらわれず未来志向を前面に打ち出した金大統領の訪日時の決断が、日韓関係を大きく変えた。韓半島全体の平和も含めて地方参政権問題の党内調整を考える」と前向きな姿勢を示した。

(1999.10.20 民団新聞)



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