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韓国国体で在日同胞

海外同胞で総合連覇(写真特集)



開会式で観衆に手を振りながら
元気良く入場行進する
在日同胞選手団


 第80回全国体育大会(韓国国体)が11日から17日まで、仁川広域市一円で開かれた。1900年代最後の国体であり、仁川市では16年ぶりの開催だけに内外から注目を浴びた。在日同胞選手団(鄭進選手団長)は、故郷の地で晴れ晴れとしたプレーを見せた。ボウリング、テニス、サッカー、柔道などで活躍を見せ、海外同胞・総合成績で2年連続の優勝を飾った。


■少数精鋭で海外同胞V2

 在日同胞選手団(鄭進・選手団長)は選手73人、役員23人の合わせて96人。在日同胞が出場したのは、サッカー、テニス、水泳、ゴルフ、テコンド、ボウリング、柔道、アーチェリー、射撃、ヨットの十種目と体験参加の剣道。

 今年は特に1900年代最後で、80回という節目の大会とあり、選手団のほかにも民団や在日体育会の顧問など多数の在日同胞が参観し、在日同胞選手を励ました。また、地元の高校生なども各会場で熱い声援を送った。


テニスの男子ダブルスで優勝した高兄弟

ゴルフ個人で銀メダルを獲得した
金誠治朗選手のドライバーショット


■柔道が活躍、金2個、銀6個、銅3個

 在日同胞は金メダル2個、銀6個、銅3個の合わせて11個のメダルを獲得した。

 金メダルを獲得したのは、ボウリング男子団体とテニスの男子ダブルス(高一貴、高真貴兄弟)。銀メダルはサッカー、柔道の姜義啓選手ほか、ゴルフ団体と同総合、同個人の金誠治朗選手、ボウリングの男女総合。銅メダルは柔道(2個)とゴルフ個人の申昌俊選手。

 とくに正式種目で活躍を見せたのが柔道だ。男子一般の姜義啓選手が、男子−100キロ級で銀メダル、同無差別級でも銅メダルを獲得した。

 また、女子高校−78キロ級に出場した尹奈奈さんが強豪を次々と破り銅メダルを獲得した。

 結局、在日同胞は11個のメダルを獲得し、2位の海外同胞で競う総合得点で在オーストラリア同胞、3位の在米同胞に大きく差をつけて2年連続の総合優勝を果たした。


柔道男子一般、-100キロ級と無差別級で、
銀、銅メダルを獲得した姜義啓選手(手前)

柔道高校女子-78キロ級で
銅メダルを獲得した尹奈奈さん(右)


■昨年と同カードサッカーの決勝

 今年の国体の中で特に注目されたのが七カ国の在外同胞で競うサッカー。昨年、5年ぶりの優勝を飾った在日同胞は、元日産の山本裕司さんを特別コーチとして迎え入れ、連覇に臨んだ。

 1回戦シードの在日同胞は、2回戦(準決勝)でブラジル同胞と対戦。前半こそ、接戦だったが、リズムに乗った後半は、格の違いを見せつけ一方的な試合となり、3―1で決勝に進出した。

 決勝は昨年と同じ相手、優勝候補筆頭の強豪在ドイツ同胞と対戦。在日同胞は試合開始早々、カウンターから速攻を仕掛け、左からのシュートがクロスバーに当たってゴールに入った。だれもがゴールかと思われたが審判が認めず、幻の先制ゴールとなった。

 これでガックリした在日同胞は前半、立て続けに2得点を許し、前半を0―2で折り返した。

 後半、在日同胞は相手のミスが続いた時間帯にカウンター攻撃を仕掛け1―2と1点差に詰め寄ったが、結局決定的なチャンスを決められぬまま、逆にドイツに追加点を許し、1―3で破れた。


昨年と同一カードとなったサッカーの決勝は、
ドイツに惜しくも敗れ連覇を逃した

在日同胞とドイツ同胞で優勝を競い合った
サッカーの試合後、両チーム選手らと記念写真を撮る
鄭進団長(中央)


■オッパ部隊登場のサッカー人気

 サッカー会場で目立ったのが、地元女子高生たちの応援団だ。韓国では昨年のKリーグで観客200万人を突破するほど、空前のサッカー人気だ。このブームの火つけ役が女子高生サポーターで、いわゆる「オッパ部隊」たちだ。

 国体でもサッカーは最も人気の高い競技で、会場には「オッパ部隊」が大挙駆けつけ、在日同胞選手らに「オッパ、オッパ」と、黄色い歓声が響いた。

 また、以前なら考えられなかった日本語での応援も登場した。「イギョラ」のかけ声とともに、「がんばって」のコールがこだました。これは、2002年W杯の韓日共催、日本文化の開放など、韓日交流の進展が新世代にもたらした効果だ。


テコンドでは数年ぶりに
1回戦突破の健闘を見せた

サッカー会場には「オッパ部隊」が登場。
「オッパー!オッパ!」と、在日同胞イレブンを
追いかける女子高生たち


■2世の鄭団長も感動示す

 在日同胞選手団長は昨年の冬季長野五輪でも在日韓国人後援会・実行委員長を務めた鄭進氏(民団長野県本部団長)だ。

 鄭団長は自身が在日二世とあって、「祖国の地で同胞の若いスポーツマンがのびのびと競技する姿を見て、感激の連続だった。地元市民たちの熱心な声援もうれしかった」と目を細めていた。

 在日大韓体育会の金英宰会長は、「1900年代最後の国体で海外同胞総合優勝を飾れて光栄。2000年代最初の大会となる来年の開催地は釜山でもあり、また新たな感動を生むだろう」と話していた。

(1999.10.20 民団新聞)



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