民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
ミレーやコローなど幻の96点

神戸同胞のコレクション初公開



ミレーの代表作、「井戸から戻る女」

■陳昌植さん、40年かけて収集

 【兵庫】幼い頃、フランスの画家・ミレーの絵画に魅せられ、40年にわたってミレーやコローなど「バルビゾン派」の作品を収集してきた同胞が、11月13日から兵庫県姫路市の市立美術館で作品を一般公開する。コレクションは国内最高ともいわれるもの。

 絵画を収集してきたのは民団兵庫県本部顧問でもある陳昌植さん(66)。在日3世の陳さんは、13歳の頃、自宅に飾ってあったミレーの「晩鐘」に深い感銘を受け、美術世界のすばらしさを知った。会社経営のかたわら「バルビゾン派」の作品を収集し、ごく親しい人にしか見せてこなかった。趣味として楽しむつもりだったが、美術品は自分のものであって自分のものではないという思いが強くなり、一般公開することにしたという。


■11月に姫路美術館で

 「ミレー、コロー、バルビゾンの巨星たち」展に展示されるのはミレーの「畑からの帰り」やコローの「鳥の巣を捕る子どもたち」など日本初公開の作品八十九点を含む九十六点。ミレー、コロー、ルソー、ディアズ、トロワイヨンなど「バルビゾンの七星」といわれる作家すべてを網羅している。バルビゾン派は19世紀半ば、パリ郊外のバルビゾン村と周辺のフォンテーヌブローの森に集まった風景画家の集団。

 専門家によると「バルビゾン派のプライベート・コレクションとしては、数、内容とも国内最高。日本だけでなく世界のファンを魅了するだろう」と高い評価を下している。

 陳さんは姫路市を中心に遊戯業や不動産など関連企業14社を経営する実業家。美術界では匿名を通しているが、国際的なコレクターとして世界的に知られている。また故郷の美術品という観点から、日本で評価が高くなかった頃から朝鮮陶磁のコレクションを始め、現在は400〜500点にのぼるという。


日本初公開の「畑からの帰り」

■秘蔵の96点、日本最高峰

 一方、クレー射撃も韓国国体で在日代表として2年連続優勝したのをはじめ64年のアジア選手権大会でもオリンピック記録に並ぶ九十八点で優勝したスポーツマンでもある。

 将来は朝鮮朝の白磁や高麗の青磁なども一堂に展示できる美術館を作りたいとしている。

 陳さんは、「バルビゾン派の作品は古里への郷愁が感じられる。多くの人と共感をともにできれば」と話している。

 会期は11月13日から12月23日まで。姫路市立美術館0792(22)2288。

(1999.10.20 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ