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スモーキン・クリーン



 ある日曜の朝、テレビ画面には、放送局を飛び回り懸命に都政を論じる、石原慎太郎東京都知事の姿があった。

 彼は軽油による排気の有害を説くのに、小さなペットボトルを振りかざしていた。ディーゼル車が1時間で撒くという粉塵が底に溜まっており、軽く振るだけで透明な容器が真っ黒に染まった。

 「これが一台1日当たりでは1万2000本にもなる。皆さんは都内の交差点で深呼吸ができますか?」と問いかけ、軽油税率の見直しと、バイパス建設の必要性を強調した。

 税率を上げれば、軽油燃料車が減少するだろうし、A県からB県に行く目的で、都内を単に通過するだけの大型車には、〓回路を利用させられば良いとのことであった。

 説明の為にボトル入りの粉塵を持ち出すあたりは、さすがだなと感心した。何故ならその結果、彼の考えが大部分の視聴者に浸透しただろうからである。人を説得する為には、何らかの演出が効果的だと再認識させられた訳だ。

 ところが、同様の粉塵を撒き散らして平然たる輩(やから)が、実は視聴者側にも大勢存在する。それは公共の場等でも、煙草の火を点けて当然顔の喫煙者のことである。

 勿論、吸うなとは言わないが、携帯電話と同様にマナーの問題を指摘したい。まだ食事を続けている人の前で食後の一服をする輩、吸わない人のデスクに向かってくわえ煙草で歩いて行く輩、禁煙の観光バス内で、さもうまそうに悠然と煙を吐き出す輩、そうです!これを読んでいるまさにアナタのことです!

 「習慣性嗜好品で、犯罪要因と無関係なのは煙草だけだ」と、あるヘビースモーカーは豪語したが、煙草による殺人事件の被害者第1号に認定されぬよう愛煙家諸氏は肝に銘じるべきですぞ。(Z)

(1999.11.03 民団新聞)



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