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高齢社会と介護保険制度



 韓国の統計庁が発表した98年度の社会統計結果によれば、2000年には65歳以上の人口が全体人口の7・1%で337万1000余人になるといいます。そして、高齢化時代と共に社会問題となるのは誰が老父母の扶養責任を持つかということで、今まではそれは長子にあると言われてきました。

 しかし、統計庁の調査によると、能力のある子女が扶養している場合が全体の45・5%になっています。これは、97年末からのIMFの影響があると思われます。つまり、このような変化は人間そのものが変わったというよりも生活そのものに変化があったと思われます。言い換えれば、生活環境が後退したということでしょう。

 日本の中の同胞社会においても老人問題は放置することはできません。老年層こそ今日の同胞社会の基礎を築いてきた主人公であるからです。2000年には韓国でも平均寿命が75歳になるであろうと予測されるので、まず低所得層の老人達が最も必要とする所得保障および医療保障的側面を強化し、一般的な老後生活のためのプログラム開発、施設拡充等の課題の解決が要求されます。


■介護保険の申請始まる

 日本において来年4月からスタートする介護保険制度について考えてみたいと思います。これは、病気にかかっている老人の面倒を誰がみるのかという問題に対し社会全体で高齢者介護を支えるために政府が導入する新たな社会保険制度のことです。

 この制度は介護を必要とする高齢者が一定範囲内でサービスを選択する医学的な治療より、介護を必要とする高齢者が一般病院に長期入院生活―いわば社会的入院の解消を狙っているようです。

 介護保険制度のスタートまで半年を残し、10月1日から申請が始まりました。要介護認定は被保険者、あるいはその家族が区市町村指定の窓口に申請書を提出すると、医師、看護婦、福祉専門家で構成された認定審査会で判定され、原則として30日以内に認定結果が通知されるようになっています。

 申請できる人(介護保険を使って介護サービスが受けられる人)は外国人にも該当します。外国人登録をしている人で永住者・定住者及び在留期間が1年以上認められる人は介護保険加入が可能です。

 介護サービスが受けられる人は65歳以上の人で、日常生活を維持する上で何らかの支障をもつ人で、要介護・要支援状態にある人と40歳から64歳までの特定疾病(十五種)を持つ人です。


■ホームヘルパーになって社会奉仕を

 ホームヘルパーというのは、心身障害あるいは病気で寝たきりの在宅老人を対象として、家庭訪問をしながら料理、洗濯、掃除、買物等の家事の手伝いと入浴介助等の介護サービスを行いますが、所定の資格を取らなければいけないことになっています。筆記試験はありませんが、奉仕精神を持っている健康な人で、病人の痛みに対し深い理解を持つ人で役所の面接を受け評価されれば、約二カ月の講習会に参加し介護問題の講義、車椅に高齢者を乗せることや食事準備等の実習を受けて合格すればホームヘルパーの資格を取得できます。資格取得後、病院や特別養護老人ホーム等で実習をしてから区市町村が委託している福祉サービス協会の派遣ヘルパーとして活動できるようになります。

 われわれも地域社会と共生する意味から積極的に参加することが望まれます。

(1999.11.03 民団新聞)



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