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新韓銀行の中・長期経営戦略を聞く

羅應燦・新韓銀行・行副会長



羅應燦・新韓銀行副会長


先進経営システム導入
"クリーンバンク"宣言めざす

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■投資説明会の強調点と
 株主投資家の反応

 まず、今回新韓銀行が日本を巡回して展開している説明会に多くの関心と声援を送っていただいた在日同胞の皆さんに深く感謝します。

 今回の説明会で私は新韓銀行の経営現況と中・長期経営戦略、そして、資産の健全性現況などを強調しました。

 その中でも、新韓銀行は銀行健全性の代表得的尺度と言われるBIS基準、自己資本率が6月末現在、12・03%を示し、国内銀行中、最高水準を誇っています。

 またも最近、韓国金融界に多大な影響を及ぼした、大宇グループに対する信用供与が市中銀行中、最も少なく保有していたため、大宇の信用供与を含めた不良債権は最低限の水準となりそうです。

 今年初旬、新韓銀行は国内銀行では初めて事業本部制度を導入したほか、顧客別営業店舗制度がいち早く定着し、営業の全分野で可視的な成果が現れました。今年上半期だけでも5155億ウォンの利益を達成しています。

 このような成果が下半期にも持続されており、今年の目標額1兆ウォンの達成も無難にこなせると予想できます。

 業務利益1億ウォンを確保すれば、新たな貸し倒れ充当金積み立て基準に立脚した充当金を割り当てても、一定水準以上の利益実現が可能となります。

 そうなれば、不良債権を完全に振り払い、国内銀行では初めて内外に「クリーンバンク」を宣言することができ、清く透明性の高い銀行と生まれ変わるでしょう。

 一方、2004年まで、ROE17%以上、不良債券比率0・6%以下、ROA1・8%を目標とする、中・長期経営戦略も順調に展開されています。

 この戦略が完成すれば世界のどの銀行にも遜色のない名実共に一流銀行に成長することでしょう。

 このためにも在日同胞の皆さんや投資家たちが肯定的な反応を見せており、良い結果になっていくものと期待しています。

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■全般的なコンサルトと
 新たな金融文化の定立

 新韓銀行は金融産業の変革が時代の必然性と認識し、先進金融システムを導入し、組織をより効率的に構造改変するため、IMF体制以前の1995年から銀行経営全般にわたった経営コンサルトを推進しました。その結果を土台に自主的な構造調整をスタートさせ、今年初旬からはより本格的で具体的な改革を展開しています。

 まず、本部組織を「××内の○○」に改編し、各本部別ごとに事業本部長の責任下に営業戦略を設定するなど、自律的に事業本部を運営していきます。成果に対しては徹底した責任を負う、「責任経営体制」を確立しました。

 また、全店舗が百貨店式に営業してきた過去の形態から果敢に抜け出し、顧客により専門的なサービスを提供するために、営業店舗を個人顧客、中小企業顧客、大企業顧客別に改編しました。

 一方、銀行経営に最も重要な要素である効率的なリスク管理のために、個人信用評価システム「CSS」、企業信用リスク管理体系の「CRM」など、先進リスク管理システムを導入し、科学的で合理的なリスク管理を実施するようになりました。

 特に、市場・信用・運営リスクなど、個別リスクを統合し全体的に管理できる統合リスク管理体系の構築も目前であり、この間国内銀行のアキレス腱として指摘されてきたリスク管理分やに新たな里程標を立てつつあります。

 ただ、未来に向けた変化には完結はあり得ないという考えを持ち、このほかにも資金配分と運営システムの先進化、運営成果型人事システムの導入など、先進経営システムを継続していく考えです。

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■IMF経済危機と
 金融業界の地殻変動

 現在は大宇事態の処理問題など、金融市場が多少不安定な状態なため、これを安定させるために尽力することが急がれます。

 また、一次構造調整は政府が主導した形態で進められていますが、二次構造調整は外部の力でなく、市場の原理による自然進行がなされると展望しています。

 従って、新韓銀行は市場で最も有力な位置を確保するために、徹底した収益性中心の経営と持続的な成長を確実にするための先進化された経営支援システムの構築へ総力結集しています。中・長期的には、不良債権を早期に整理し、資本拡充とリスク管理システムを完備した内部構造調整を2000年までに完結させます。

 また、2000年までは収益性中心の事業戦略を展開し先進経営システムの完成を成し遂げます。これを通じて蓄積された力を土台に、2003年からは高い付加価値事業の領域を拡張しながら、価格先導力を確保しシェアを拡大させていきます。

 もう一つ強調しますが、新韓銀行は現在、いかなる合併計画も持っていません。その理由として、国内銀行は事業領域が似通っており、合併を通じた経済効果は望めないからです。

 企業の構造調整が進行中であり、不良債権を多く抱えた合併は、むしろ株主までもを下落させる可能性が高いからです。

 ただ、長期的には新韓銀行の内部力量が十分に蓄積され、合併の条件が充足され合併による生産性向上とシナジー効果が確実に期待できると判断した場合は優越的な地位での合併を考慮することでしょう。

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■韓国の銀行に対する
 大型外国資本の流入

 人によって見解の相違があり、外国資本の流入も大変多様に現れている。そのため、一言では言えない。 個人的な考えでは、外国資本の流入が増え、外国人経営者の国内企業に対する経営参加の増加は肯定的に見ています。

 その理由は、このような現状が増えるほど、発展的な競争関係、また、相互補完的な側面が一層強く作用し、かなりの上昇効果が表れるからです。

 特に、上昇効果は窮極的にその企業と取り引きする顧客、そして株主に還元される肯定的な側面が多いと見ています。

 ただ、投機性資金の国内流入は絶対的に封鎖すべきであり、たがいの改革と発展に対する努力なくしてはすべての銀行が外国の特定機関の一方的な資金誘致だけを可能にすることは警戒すべきでしょう。

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■在日同胞の株主拡大と
 協力を期待

 新韓銀行は短い歴史にもかかわらず、韓国の金融機関の歴史に新たな一ページを書き、めざましい成長を成せた決定的な理由は、在日同胞みなさんの協力のたまものと確信しています。

 このような、在日同胞皆さんの声援に応える道は、私をはじめ役職員一同が、自分の職務に最善を尽くし新韓銀行を世界有数の銀行と肩を並べられるような一流の銀行に成長させることです。

(1999.11.03 民団新聞)



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