| 生徒も踊りの輪に加わったフィナーレ |
■在日同胞が架け橋役担う
【神奈川】韓国の著名な打楽器アンサンブル、李光寿氏率いる民族音楽院芸術団から在日同胞を含むメンバー5人が来日、このほど横浜市内の公立小・中学校五校で「鑑賞会」を開いた。同芸術団が日本の公立学校で公演したのは今回が初めて。
音楽を通して韓国理解を深めてもらおうと熱のこもったサムルノリ演奏を披露、演奏の合間には在日同胞メンバーが「心の垣根を取り除いて一つになろう」と友好のメッセージを投げかけた。
民族音楽院芸術団は金徳洙氏率いる「サムルノリ」グループの創設メンバー、李光寿氏が93年に設立した団体。「本場のサムルノリグループを呼んで、『鑑賞会』を開きたい」との横浜市立松本中学校(大島祐二校長650人)の求めに応じ、横浜コリアン文化研究会(金順玉代表)が招請した。
「鑑賞会」は同校文化祭恒例の主要行事。10月28日、体育館で全校生徒を集めて行われた。
力強い音楽を奏でながら観客席の裏手から登場したメンバーはまず、告祀「ピナリ」で舞台の無事安泰を祈った。一転、「三道ソル・チャンゴ」では様々なチャンダンのリズムを体育館いっぱいに響かせた。続いて「三道農楽」に入ると、熱のこもった演奏にそれまで戸惑いがちだった生徒たちが、手拍子で応える場面も見られた。
ケンガリを担当したメンバーの一人で在日同胞の李昌燮さんは、演奏の合間に「音楽を通して皆さんと心を一つにしたい」と舞台から訴えた。李さんには日本の公立学校で公演することには特別の感慨があったようだ。
この呼びかけを合図にメンバーは全員ステージから降り、生徒の目の前でサンモを激しく回しながら「パンクッ」を舞い踊った。生徒も緊張がほぐれたのか、金順玉さんの呼びかけに応じて進んで踊りの輪に加わっていった。最後は、生徒全員で韓国の童謡「故郷の春」を合唱、民族音楽院芸術団の熱演に応えた。
公演後、同芸術団を招請した金さんのもとには複数の生徒が駆け寄り、「カムサハムニダ」とお礼の言葉を述べた。
中学2年生の男子生徒は「激しいリズムに圧倒されっぱなし。でも、ステージではなく、目の前で演奏してくれたときは、国籍の違いを超えて同じ仲間なんだと実感できた」と話していた。
大島校長は「リズムが違う。タイコは好きなのに、どうしてもリズムに乗れなかった。でも、こうした文化の違いをありのままに受け入れることが大事なのでは」と感想を述べた。
同芸術団は10月28日から30日にかけて松本中学のほかにも中村小、帷子小など全部で5校を回り、公演した。メンバーの中からは「日本の学校が韓国からサムルノリを呼んでくれるなんて時代が変わった」という感想も聞かれた。
(1999.11.03 民団新聞)
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