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同胞多住の川崎市内

介護学校で韓国語講座導入



■介護保険、同胞に対応

 【神奈川】川崎市内の介護福祉士養成校、YMCA福祉専門学校(熊谷孝一校長)が、10月からカリキュラムにハングル講座を加えた。来年4月から導入される介護保険制度を前に、コミュニケーションに不安を抱える在日同胞の立場に配慮したきめ細かいサービスを提供していくのが目的。介護福祉士の専門学校でハングル講座を開設したのは同校が初めてだという。

 ハングル講座は「人間と社会のあり方を学ぶ」カリキュラムに位置づけられており、10月から英会話とともに語学の選択科目に加えられた。現在、同講座を受講する学生は、1、2年生の全体105人のうちで15人ほど。週1回90分の授業時間でこれまでに4コマの授業を終えた。

 講師は川崎市内在住の在日韓国人高齢者の実態調査にも加わったことのある金恵媛さんが務めている。現在は文法学習の段階にとどまっているが、学校側ではゆくゆくは在日韓国人の歴史や文化にも触れながら、きめの細かい介護福祉サービスが可能なプロを育てていきたいという。

 初めての試みとして来年2月に実施を予定している韓国への研修旅行もこうした一環。ソウル、光州、ナザレ園を訪れ、高齢の日本人妻を介護している現場にも接する。同校は介護福祉単科の学校として昨年4月、厚生大臣指定の介護福祉士養成専門学校として開校した。修業年限は2年。卒業後は老人ホームや療護施設などでケアワーカーとして日常生活のケアにあたるのが一般的。市の委託を受けてホームヘルパー養成研修を実施するなど、地域に根ざした福祉教育を実践している。

 今回のハングル講座の開設は、社会福祉法人として地域で地道な実践を積み重ねてきた李仁夏牧師(青丘社理事長)からのアドバイスが大きい。熊谷校長は、「在日韓国人は歳を重ねるにつれて日本語を忘れるということを李牧師から聞いた。こうしたコミュニケーションの問題で孤立感や不信感を持たれないよう、安心して福祉サービスが受けられるようにしてあげたかった」と話している。

 川崎市内の外国人登録者数は20,739人(今年9月末現在)で在日同胞は9002人を数える。狭いアパートで単身暮らす例も多い。青丘社ではこうした同胞高齢者の孤独感を少しでもいやそうと世代と民族をつなぐ交流クラブ「トラヂの会」を運営している。

(1999.11.10 民団新聞)



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