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民族学校生徒募集に全力を



 2000年度の児童・生徒募集に向け、東京・京都・建国・金剛の全日制民族学校4校が要項を刷新、各級民族団体の協力を得て、積極的なアプローチを試みております。

 特に、民族学校2校を擁する民団大阪府本部では、初めての試みとして洪性仁団長と尹駐大阪総領事の連名で就学子弟を抱える全家庭に「民族学校進学のための推薦状」を送る一方、学校説明会を積極的に開催しており、その成果に期待が寄せられています。

 民族学校に託す同胞社会の期待は、大きなものがあります。後継者の育成はもちろん、韓国人としての自覚を持ち、日本という競争社会で生きていく実力を育むことにあります。この2つの課題は、民族素養教科の充実と、より高いレベルの学力が求められることで、教師と生徒の負担は少なくありません。しかし、グローバルな時代と言われる21世紀は目前です。ボーダレス時代の教育目標は、溢れる個性であります。異なる環境に生きるが故に、自らの主体性の確立が強まるのです。


■学校の特性を活かそう

 こうした時代に対応する学校づくりをめざして、四校はそれぞれの特性を活かす改革に取り組んでいます。

 白頭学院では、2年前から少数精鋭による徹底した韓国語教育に重きを置き、授業はもちろん、ホームルームもすべて韓国語で行う「韓国文化特別コース」をスタートさせました。実践的韓国語の習得のために夏休みを活用して本国研修も行っており、成果を上げています。

 金剛学園は、「真の国際人」の育成に向けて、生徒の習熟度に合わせた班別学習ときめ細かな指導によって、学力アップに結びつけています。

 京都韓国学校も、99年度を「改革元年」と位置づけ、特別進学コースの生徒のほとんどが、わずか3カ月間の集中指導で大学検定に合格するという成果をあげています。さらに、日本高校野球連盟に外国人学校として初めて硬式野球部の加盟が認められ、スポーツを通してのイメージアップを図りました。

 1時滞在者の子弟が大半をしめる東京韓国学校も、そのことを逆に利点として活用し、民族素養の著しい充実化と、母国の大学への進路指導という形で成果をあげております。


■就学説明会でイメージアップ

 教師と理事会、保護者による改革にむけた努力はかつてないほどと言えましょう。しかし、生徒数の漸減状態は依然として深刻です。同胞社会の少子化傾向と2・3世世代となった保護者の関心低下などの原因が指摘されますが、何よりも民族学校に対する誤った評価が原因だと思われます。

 在日韓国人が在日韓国人として在日韓国人らしく生きていくうえで、早い時期からの民族素養が重要であることは言うまでもありません。しかし、家庭教育が殆ど望めない私たちの社会であればこそ、民族学校の存在は、本当に貴重なのです。

 そのような意味で、民族教育というソフトと学校というハードを活かし、日本学校に通う子弟に対する土曜学校の併設は、民族学校に対する評価を高める契機となりました。そして、大阪のように学校説明会の開催と同時に地方団長と総領事の連名の推薦文は、民族学校に対する認識を改善する上で大きな転機になるものと思います。

 明日の在日同胞社会をうらなう民族学校を私たちの学校として再評価し、関心を持って共に育んでいきましょう。

(1999.11.17 民団新聞)



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