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台風で被害の木浦共生園

復興への支援を呼びかけ



尹緑さん

 木浦共生園はキリスト教伝道師で「乞食大将」と呼ばれた祖父の尹致浩さんが1928年、7人の孤児と生活したのが始まり。韓国動乱で尹さんが行方不明になってからは日本人妻の田内千鶴子さんが切り回し、生涯で2000人以上の孤児を育てた。韓国民間社会事業の中では70年と最も古い歴史を持つ。

 緑さんも尹基さん(社会福祉法人こころの家族理事長、堺市)の長女として園で生まれ、5歳まで過ごした。それだけに園には特別な思い入れがある。おばに当たる前園長に請われるまま「新しい風を吹かすことになれば」と昨年9月、園長として赴任した。祖父母、父母と続く「三代目」だ。

 日、英の大学で社会福祉学を学んだ。「実践の場で自分の力を試したい」と、持ち前の恐い者知らずの気持ちに突き動かされたものの、3歳から18歳まで140人近い孤児を前にして、初めて「親」としての責任感を実感させられたという。

 社会福祉法人とはいえ、運営費の四割は篤志家からの寄付が頼り。緑さんなりの新たなネットワークを築かねばならないと、手探りで地元の企業、社会援助団体を開拓しつつあったとき、台風「オルガ」の直撃を受けた。

 ただでさえ築60年で老朽化の目立つ園。特に孤児が生活の場としている住居の一部で被害が大きく、26人が投げ出された格好となった。しかたなく食堂で寝起きしたり、一部はテント生活で夏休み中をしのいだという。

 復旧に向けて頼みとした木浦市からは、園舎が市の公園化推進計画に入っていることから、助成どころか移転を迫られている。期限は2、3年内とみられることから、緑さんとしても最低限の補修にとどめざるをえないのが悩みの種だ。

 緑さんは19日、東京・新宿淀橋協会の呼びかけた支援チャリティコンサートに出席のため来日、「子どもたちが安全で安心して生活するために1日も早く園舎を直したい」と日本からの協力を呼びかけた。

 募金先は三和銀行光明池支店「普通口座3828798」。問い合わせは社会福祉法人「こころの家族」支援室、電話0722(71)0884まで。

(1999.11.24 民団新聞)



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